手動ウインチで開閉する秘密基地のような家「Caja Oscura」
サンダー、バードー♪ と口ずさみたくなってしまうこの家。驚くべきことに、窓はひとつもありません。手動(!)のウインチによって家全体が大きく傾き、光と風を取り込む画期的なシステムが採用されています。
閉じている間は、シンプルな倉庫のように見えますが、中は2階建ての造りになっています。近くの採石場から集められた石で壁を築いた地上階に、ベッドルームとバスルームが隠されています。
開閉する箱部分は金属製。冗談のような造りをしていますが、これには深いワケがあります。
設計を依頼したクライアントは海外へ出掛けていることが多く、めったにこの家を管理できません。パラグアイの豊かな自然に囲まれたこの土地は、人の手が入らなければ小さな家などすぐに、野生動物や植物に侵食されてしまいます。治安もあまり良くないため、留守中に家をしっかりと守るには、丈夫な金属で覆い込んでしまう必要がありました。
開閉する角度は25度。この角度は、外の景色を見渡せながらも、ほどよい日陰を家の中につくってくれます。気温は40度にも達し、年間の晴れの日はなんと285日。この土地での生活に日陰は欠かせません。
テラスであるような、室内であるような。開放的であるような、安心感があるような。遊び心満載に見える設計は、この土地では理にかなったものなのです。
ギギ、ギギギ……と音をたてて、ゆっくり開閉する金属の箱。手動で操作するその様子はとてもユーモラス。高温多湿の日本ではすぐに蒸し暑くなってしまいそうですが、ちょっとうらやましい住まいです。
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