日本民家にインスパイアされたアメリカの家「Zen Forest Home in Oregon」
この家は小さなオーガニックパーマカルチャーファームの敷地内に建っている。生い茂る木々をかき分け進むうちに姿を現すその姿は、木目を活かした外装と大きい屋根が特徴だ。
カヌー作家のBrian Schulzは日本の民家、合掌造りの屋根に魅了されてこの家のデザインを考えたそうだ。材料はカヌーをしているときに川岸や海岸に流れ着いていた流木と土地を切り開いた時に出た木材など、ほとんどを敷地内から調達した。
ほかにもこの家のドア、窓、シンクなどはその地域の廃棄所でみつけた掘り出し物。低コストでの家づくりに成功している。彼は材料を集めるのには一年半ほど時間をかけたが、施工にはあまり時間をかけずに建てたかったという。
一階はリビングスペースになっているが、狭いスペースを広く感じさせるために視点を低くして暮らす工夫をしている。本来ならばテーブルやイスなどの家具が場所を占めるのであろうが、そこは切り株のテーブルを卓袱台(しっぽくだい)のように使うことによって空間を家具が支配しない、ニュートラルな空間をキープしている。
置かれた薪ストーブは部屋を暖めるだけでなくオーブンもついてクッキングもできる優れもの。煙突のパイプは二階へと繋がっていて、部屋を暖めるヒーティングパイプの役目も果たす。
階段は一本の木に切り込みを入れ、そこに一枚ずつ足場になる板を付けたもの。普通の階段よりも省スペースなデザインである。ナチュラル感あふれる手すりは家の外の木の枝を切りだし、そのまま打ち付けたものだそうだ。
部屋のインテリアのアクセントになっている切り株のテーブルは木材の切り出しからテーブルになるまでわずか数時間しかかからなかったそうだ。職人の集中力には脱帽してしまう。
彼に言わせると「自分はクリエイティブな工事の過程を楽しみはするけれど、ずっとそれだけに時間を取られたくはないんだ。ほかにもやりたいことはたくさんあるから。」彼のクリエイティビティは合理的でもあるのだ。
手作りのランプや、シンクの窓際に飾られた石などにちょっとした和風なエッセンスが感じられて親しみが持てる。目を引くのはリビングの畳部屋と小さな窓。窓に切り取られた森の風景は一枚の絵のよう。そこだけを見るとまるで茶室の中にいるようだ。小さなスペースを特別に感じさせる演出である。
深い森の中で静かに時を過ごすときは何物にも代えがたい。質素な中に美を見出す日本のこころを誇らしく思える、そんな家がオレゴンにある。
via:healthybodynow.net