木に留まる鳥のように過ごす、可変性もある竹のホテル「One With the Birds」
「テントのように全天候型で簡単に組み立てられ、立地場所のカルチャーを感じさせつつ、新しいバケーションの形を想起させるような環境にも優しいホテルのデザインを」。
このAIM国際コンペティションの難題に、北京の建築家集団Pendaはどう答えたのでしょうか?
Pendaはネイティブ・アメリカンのティーピーにヒントを得て、中国で広く足場材として使用されている竹を構造体に選びました。竹は地産地消で輸送が簡単、異なる現場で共通して使え、柱と桁のジョイントにはロープを使用することで竹を傷めず解体も容易です。
Pendaのデザイナーの一人Chris Precht氏によると、このプロジェクトは周囲の自然環境とつながるだけでなく、ツタなどの植物がこの中で繁茂することで自然と建物が文字通り結びつくことも意識していると言います。時間を経ることで自然と一体化すれば、宿泊客は自分があたかも木の上に留まる鳥のような気分を味わうことができるでしょう。
また設置される場所に合わせてタテヨコ自由に拡張が可能なので、テント型ユニットの組み合せ次第ではホテルはもちろん、個人の家としても、休憩所としても、また時に緊急避難所として様々な使い方が可能になります。たとえば森の中にこんな素敵なカフェがあったなら思わず立ち寄って、木々の鳥たちを眺めながら何時間でも長居してしまいそうですね。
優れた建築が永く残されることはもちろん大切です。その一方で「One With the Birds」のように、解体や移動を前提に考えられた建築を住居や公共施設などに上手く活用すれば、住み手もなく撤去もできない空家や建造物の増加に歯止めをかけることができるかもしれません。建築のフレキシビリティー(現地の環境に対する順応性)は従来のスクラップ&ビルドに替わって、未来の建築を語る上で外せない要素になりつつあるようです。