森の中に佇む芸術家のための小さな別荘「Inshriach Bothy」

Inshriach Bothy01
芸術家たちの仕事は新しいものを作り続けること。でも芸術家だっていつも泉のように新しいアイデアが湧き出してくるとは限らない。そんな彼らにとって、インスピレーションを得るというのは作品作りにとても重要な作業だろう。

英国はスコットランドに建築されたマイクロコテージは、世界の芸術家の為に作られた小さな別荘だ。その魅力的で居心地のよさそうな点はさておき、この家ほど自然とインスピレーションを追求しながら幸せを感じられる空間はそうないだろう。

Inshriach Bothyは、アーティストのための住居として特別に設計された、たった15㎡の大きさの現代的なオフグリッドのライブ/ワークスペースだ。国家プログラムとして建築家のイアン・マクラウドとロバート・ニーヴンが手掛けた。芸術家の為の住居をつくるというこのプログラムによって、三つの住居が建築された。

かつて羊飼い、庭師とハンターたちが休息をとっていた小屋にヒントを得て作られたbothyは、エディンバラ彫刻ワークショップで居住地として作られ、2011年にスコットランドのためのRSAレジデンシーの一部として建設された。その後bothyは、ケアンゴーム国立公園の伝統的なスコットランドの森林区域のスペイ河のほとりにあるアビモアから約4マイルの距離のInshriach(インシュライック)私有地へと搬送された。

実にシンプルすぎるが、スタイリッシュで居心地の良いこの別荘には、彫刻家や画家、イラストレーターが、この家の建つ自然に囲まれた土地から新しいインスピレーションを得たり、リラックスするために訪れる。このBothy Projectのウェブサイトに行くと、今までこのInshriach Bothyに宿泊した様々なアーティストの書いた宿泊体験記をブログ形式で読むことができる。

これらのインスピレーションを得るためのカギは、テーブル、ベンチ、シンク、ストーブ、二つのアームチェア、メゾネット式ベッド、屋外の雨水を利用したシャワーだ。しかし、もっとも贅沢なのが、ひとりでこの自然にどっぷりと浸かることだ。それが芸術家にとって最高のインスピレーションにつながる。

この別荘はカラマツに囲まれていて、周りはヒースのカーペットが敷きつめられている。屋根と外壁の一部にはトタンが使われており、現代的な印象だ。 キッチンコーナーはイケアのシンクキャビネットが設置され、安全シートとシンプルな木製のテーブルが置かれている。梯子は、スコットランドのチェック模様のメゾネット式ベッドにつながっている。

Inshriach Bothy02
「リビングルーム」には、デボンで作られた「ウィンディ鍛治場」という薪ストーブがあり、部屋全体を暖めている。ノール(1980年)製の「パーカー」という名のソル灰と革張りの椅子、ピンクとクロムのウッドベースのネストテーブルが部屋をスタイリッシュな空間にしている。

Inshriach Bothy03
トタンから集めた雨水をタンクに貯め、アンティークショップで見つけたビクトリア朝の銅容器に入れられ、ストーブの上で加熱された後、非常にゆっくりと拡散ポケットに注がれる。それをオーストラリアのシャワーである、「ブッシュシャワー」の温水として屋外で利用している。シャワーの周りに囲いはないが、誰もいないので心配ご無用。実に開放的なシャワータイムを満喫することができるだろう。

Inshriach Bothy04
自然と共に過ごすこの時間が芸術家たちに創作のインスピレーションをもたらし、世の中の人々に新しい視点をもたらしてくれることを期待する。

Via:
thebothyproject.org
marieclairemaison.com
tinyhouseliving.com
thebothyproject.org