第7回:小笠原でしか体験できない“未来の住まい方”がわかる宿|スゴイ!が日常!小笠原
小笠原には、未来の住まい方を考えるのにぴったりの宿があります。
それは「エコヴィレッジぷーらん」。 サーファーのRYOさんと、ヨガインストラクターのCHIKAさんが手がける“秘境宿”です。
町から少し離れた森の中、道なき道を進みたどり着くその場所では、人が自然のサイクルの一部となる暮らしを体感できます。ぜひRYOさんからのメッセージを読んでみてください。
ぷーらんでの暮らしは、まるで“泊まるアトラクション”。食事やトイレ、シャワーまで、生活するだけでたくさんの発見や、おみやげ話ができるはず。ふつうじゃない小笠原暮らしにどっぷりと浸ってみたい人にオススメです。今回は、そのほんの一部をご紹介したいと思います。
まずは、トイレ。人間のうんちは犬も食べると言いますが、最高の肥料になることをご存知ですか? ぷーらんでは、それらを無駄にしないため、枯れ葉が敷きつめられたバケツの中に用を足します。
そして、トイレットペーパーの代わりに「アカギの葉」でお尻をふいて、そのままバケツにポイします。エコどうこうよりも、葉っぱの繊維がお尻に吸い付くようで、すっかりキレイにしてくれることに感動を覚えます。
最後は、灰をかぶせて消臭します。これがまた、ものすごい消臭力。ほんとうに一瞬で匂いが消えるのです。(ふつうのトイレもあります。)
そしてシャワー。ぷーらんでは、シャンプーは使用禁止です。そのかわり、クエン酸が置いてあります。髪を洗うには、お湯で流してクエン酸でリンスすれば十分なのです。企業が競って広告しているシャンプーは何なのだろう、と考えさせられます。
その他にも初体験が盛りだくさん。ロッジはすべてRYOさんの手づくりで、アスレチックのような廊下を裸足で歩いて進みます。夕食は一人一品持ち寄りで、みんなで手をつないで「いただきます」。不思議と打ち解けることができて、焚き火を囲みながら、ふだん話さないようなことまで語り合えてしまいます。
7世代先まで考えて暮らすこと。
アメリカの先住民、ネイティブアメリカンには“seven generation”という言葉があるそうです。
ある若いインディアンが、族長にこう言ったとする。「都会にはペットボトルというものがあるそうです!軽くて水も入るし、村に取り入れましょう!」そのとき、族長はこう問いかけます。「確かに良さそうだけど、“7世代後”はどうなんだ?」と。「ペットボトルは石油で作られていると聞くが、7世代後にも石油はあるのか?仮に取り入れたとして、使ったあとはどうするつもりだ?」と。そうして、常に次の世代のことを考える文化があるのだといいます。
「自分も親となれば、せめて7世代先まで考えなきゃいけないと思ったんだ」とRYOさんは聞かせてくれました。そして、僕が飲んでいた缶ビールを手に取って話は続きます。
「たとえばさ、この缶をつくるために何が必要だと思う?アルミ缶を作るには結構な電気がいるんだよ。そうして原発を入れるとなったら、『原発って7世代後も大丈夫なのか?』って、族長なら聞くだろうな。それに、ゴミが出るなら、そのゴミはどこに埋める?と言うかもしれない。」
電気で言えば、自動販売機1台で、家1件分の電気を使っているとも、はたまた日本中の自動販売機を合わせると原発3機分の電気を使っているとも言われています。
「だから、俺は瓶ビールを買うようにしてる。瓶は輸送コストがかかるから値段も高い。ただ、ゴミは出ないし、自分のお金で処理してる感じがあるぶんマシだと思う。」
未来住まい方会議を、小笠原で。
「環境にやさしく!って言うだけじゃなくてさ、実際に生活を変えないと。重要なのは“毎日誰でも”なんだよな。そうならないと、今の世の中は変わらない。」
ぷーらんをつくったのには、限りある地球の資源で、世界中の人が幸せに暮らすにはどうすればいいのか。そんなことを考えるキッカケにしてもらえたら。という気持ちがあったそう。
「都会ではさ、一部の人が儲かってるだけで、あとの人は忙しいんだよ。もっと、みんなでラクしたらいいのに。日本は今ようやく社会の仕組みができあがってさ、“あー疲れた”ってときなんだから。これ以上増やさなくていいんだよ。だからさ、もっとラクして、お金なくても生きていけるようにしようぜ!って方向に進むべきだと思うんだよな。」
RYOさんが聞かせてくれたお話や、ぷーらんでの体験は、自分のこれまでの暮らし方、これからの暮らし方にたくさんの気づきを与えてくれました。ぜひ、みなさんにもオススメしたいと思います。
スゴイ!が日常!小笠原の「住」。
食べ物も生活用品も極端に少ない。島にいる人みんなで分け合うしかない。そんな小笠原という島だからこそ、資源に限りがあることを肌で実感できます。ぷーらんで「未来住まい方会議」をしてみるのも、きっと忘れられない体験になるはずです。