限られたスペースを最大限に生かす、動く壁「Transformer Apartment」
ロシアのデザイナー、Vlad Mishinはあるアパートの一室のインテリアデザインを引き受けました。その広さは、約60㎡。日本の一般的な間取りでいうと、2LDKやぎりぎり3LDKくらいの広さでしょうか。
この部屋は、真ん中から大きく2つのスペースに区切られています。間取り図を見ると、ホール、キッチン、リビングが並んだ「パブリックスペース」とバスルーム、ベッドルームが並んだ「プライベートスペース」があるのがわかります。
空間を2つに分けているのは大きな壁。壁といっても、一般的に想像されるような壁ではありません。
間取り図をよく見ると、リビングとベッドルームの間の壁に、なにやら点線でかかれた円が見えます。これが、この壁の秘密。実はこの壁、回転させることができるのです。TV台を兼ねているこの壁を回転させることで、リビング、キッチン、ベッドルーム等、様々な場所からテレビをみることができます。
部屋の真ん中にある壁は、キッチンを隠しています。クローゼットのように扉を開けると中にあるキッチンにアクセスできる仕組みです。壁を全部閉めきると、バスルームやキッチン、ベッドルーム等生活感がでる空間を隠すことができるので、急な来客があっても安心です。
黒いメタルのフレームと合板でできたこの壁は、デザイン性も高いので、閉め切っても圧迫感がなく、また、台形に入った目地によって空間にリズムが生まれます。60㎡という限られた部屋ですが、間仕切り壁を工夫するだけで、無限の使い方ができる空間になるのです。