水で溶ける、生分解性のパビリオン「Reflect.Reveal.Rebirth」

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カナダ・トロントのニュージャージー工科大学の卒業生Michael SignorileとEdward Perezによる生分解性のパビリオン“Reflect.Reveal.Rebirth”が仮庵の祭りSukkahville2014 design competition in Trontで発表された。

仮庵の祭り、とは毎年10月に8日間行われるユダヤ教の三大祭のひとつである。ユダヤ人の祖先がエジプトから脱出するときにSukkah(枝葉で屋根をふいた一時的なシェルター・仮庵)を利用したことにちなみ、祭りの期間にはいたるところにこの仮庵が建てられる。Sukkahville2014 design competition in Trontではこの祭りの40周年を記念し「自然のワイルドさと物のはかなさの象徴としての仮庵コンテスト」が開催された。
このコンテストに参加したMichael SignorileとEdward Perezは自然と繋がること、人はなぜ持続性のある素材を使って建物を作るのか、その本質について考えるきっかけを作りたい、と考えた。

Sukkahのベースは合板製で格子状に組まれ、軽量化とコスト削減を実現した。ゆるやかに螺旋を描く独特な形は、花のつぼみが開いてゆく様子を表現している。ほころんだ花弁の隙間から空を眺めることもできるようになっている。中に入った人はこの花びらに包まれながら空を見上げ、ゆっくりと時間を過ごすことができるのだ。

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Sukkhを覆う素材にはオーガニックのとうもろこしで作られた発泡フォームが採用された。
格子に合わせて一枚一枚花びらのように、張り合わされた発泡フォームによって包まれるようになっている。この発泡フォームの貼り付けに使う素材選びには苦戦したそうだ。水に溶けるという特性を利用して接着部分に水を霧吹きで吹き付け、溶かしてパネルに貼り付ける、という手法がとられた。

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写真を見ると展示期間中に雨が降り、発泡フォームの花弁が雨に溶け、ちぢれたようになっているのがわかる。本当の花が散っていくかのように、時間とともに変化していくモノのはかなさが見て取れる。

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実際に展示中、雨が降ってその変化の様子を目の当たりにできたのはとても興味深い。
ときには時間がかかる循環物質の変化・輪廻が目の前に示される。なんとも神秘的な展示物といえるのではないだろうか。
この発泡フォームが溶けてしまった後に残った骨組みは、また再利用できる。
はかなく消えてゆくモノと形をゆっくりと残すもの。時間の対比も興味深い。時にはこんな仮庵で風を感じ、差し込む太陽の光を見上げ、自然と一体となりたいものだ。

(文=加藤聖子)

Via:archdaily.com