インスピレーションを誘発する、砂漠のシェルター「Wagon Station Encampment」
アメリカ・カリフォルニア州にあるジョシュアツリー国立公園の一帯。ここの気候が穏やかになる頃、「Wagon Station Encampment」はアーティストやデザイナーで賑わい始める。彼らは、砂漠の真ん中の小さな空間で数週間を過ごすことになる。
なぜか?アーティストやデザイナーの生活を成り立たせているのは、インスピレーション。しかしそのインスピレーションは非常に繊細で、特に住環境に大きく左右される。この小さな空間は、その問題を解決するためのひとつの選択肢なのだ。
この「ポッド(箱)」は定住ではなく数週間だけのクリエイティブな作業が中心の生活を想定して作られており、それぞれのポッドにはドアロック、換気窓、衣類用のフック、そしてベッドが備え付けられている。共用のキッチン、シャワー、コンポストトイレも、歩いてすぐの距離にある。
これは考案者であるAndrea Zittelがアーティストの作品やプロジェクトのための場として用意した住居兼スタジオ「Zittel’s A-Z West」の一環であり、アリゾナの開拓やNASAの実験を参考にデザインされている。
この場所がアーティスト達に開放されるのは、春と秋のそれぞれ1ヶ月間のみ。滞在は無料だが、その代わり「Hour of Power」と呼ばれる共同の作業時間を確保する必要がある。
いつもと同じ場所で待っていると、下りてくるのに何ヶ月もかかるインスピレーションが、ここではあっという間に得られるのかもしれない。