ほんとうの自由を実現する、オフグリッドの移動カプセル「Ecocapsule」
人間の暮らしには風呂、トイレ、キッチン、ベッドなどそれぞれの機能を持った設備が必要だ。それを屋根の下に集めた空間を、人間は「家」と呼んできた。しかし「家」はそれなりに大きく、同じ場所にそれを置いておき、どこかへ出かけてもそこへ帰る…つまり「定住」をすることが一般的になった。だが定住することはあまりにも定着しすぎて、私たちはそれ以外の選択肢を見失いがちだ。
固定されない住まい方を選ぶことで乗り越えなければならない最初の壁は、エネルギーの確保。蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せばランプがつく。人間の暮らしに必要な機能を果たすためのそれは、現代では高度にインフラ化されてきたものの、それらは飽くまでも定住を前提としたものだった。定住ではない生き方になったとたん、エネルギーという最初の壁が立ちはだかり、現代人からするとその敷居はとてつもなく高いことを知る。少なくとも、今まではこうだった。
ところが、最近はその敷居を下げてくれる存在を多く目にするようになった。そのひとつがスロバキアで生み出された、この「Ecocapsule」だ。雨水を効率的に集めて濾過するため球状にデザインされたこのカプセルには、年間を通して十分な電力を確保できる2.6㎡のソーラーパネルと750Wの風力発電機、水を確保するための床下雨水タンク、そして生活に必要なシャワー、トイレ、キッチン、ベッド、ワークスペース、収納などすべてが揃う。
冬の寒さと夏の暑さを考えて、カプセルは上質な断熱材で覆われている。これほどの高機能ながら、室内は大人2人が広々と生活できるほど。本体に車輪は付いていないが、トレーラーに載せて移動できるほか、コンテナに収めて海を渡ることもできる。
もし土地に縛られた状態、そしてそれを中心とした環境に依存していることを自由としないのならば、このカプセルは本当の意味での自由を実現するためのツールなのではないだろうか。
Via: ecocapsule.sk