大地と人と芸術と、双子の小屋「The Observatory」

ob_01
Via:dwell.com

英国、ロンドンから二時間ほど南下した牧草地に建てられた小屋。黒く焼け焦げた双子の小屋。火の不始末でこんなことになった、わけではない。この家は外壁に日本の「焼杉板」を使用している。「焼杉板」とは、杉板の表面を焼くことで木材が長持ちする特性を活かした伝統的な技術だ。

ob_04
Via:dwell.com

双子の小屋「The Observatory」は、「アーティストの居住空間」をテーマとしたコンテスト案として建てられた。

ob_07
Via:dwell.com

一つはアーティストのスタジオとして、もう一つは、アーティストとオーディエンスとを繋ぐワークショップとコミュニケーションの場として、それぞれのボリュームが異なる要素を担っている。スタジオ側の小屋のバックサイドは、創作を行うアーティストのためのプライベートスペースとなっている。備え付けられた二つの机は、繋げるとベッドになり、トイレと洗面台は雨水を使用している。屋根の上のソーラーパネルによって、電球とノートパソコンの電力を賄うことができる。

ob_02
Via:dwell.com

ワークショップ側の小屋は、オーディエンスに向けて、アーティストによるレッスンやワークショップが行われる。アーティストと観衆、そして景色を繋げる、一対のモバイルスタジオ「The Observatory」。8㎡の小屋からは、広大なランドスケープが開かれる。

ob_05
Via:dwell.com
ob_06
Via:dwell.com

双子の小屋は、向かい合うこともあれば、背を向け合うことだってある。「The Observatory」は、360度回転することができる。どちらの小屋も鉄骨の基礎の上に建っているため、簡単に移設することができ、その鉄骨の基礎の上を自由に回転するように設計されている。つまり、場所も方向も自由に選ぶことができ、常に新鮮な景観を手に入れることができる。

ob_03
Via:dwell.com

このプロジェクトに取り組んだのは、ロンドンの建築設計事務所に勤めるCharlotte Knightと4名の同僚、そして、彼女の幼馴染で、英国デヴォンのアーティストEdward Crumptonからなる5名のチーム。「焼杉板」も彼らが一枚ずつ焼いたものだ。Crumptonの作品で、船乗りの結び目をモチーフにした作品がある。「焼杉板」の使用は、その作品から着想された。双子の建物のコンセプトは、「関係性」。このプロジェクトのスタートも、アーティストとオーディエンスによる共同作業だった。

Via:
dwell.com
lookinlookout.org