まだ捨てないで!ウッドのキャンパーで行く、パタゴニアの古着お直しツアー「The Worn Wear Mobile Tour」
日本でも根強い人気を誇るアウトドアウエアのパタゴニア。アフターメンテナンスのために、1年におよそ3万着を修理する大規模なメンテナンス工場をネバダ州に構えています。そのパタゴニアが2015年の4月から5月12日までの約6週間、カリフォルニアのベンチュラを皮切りに、無償の「古くなった服のお直しツアー」でアメリカ各地を駆け巡りました。
アメリカ横断「服のお直し」ツアー
業務用ミシンを積んだお直し専用車でアメリカ21州18拠点を回った「The Worn Wear Mobile Tour」。今回のツアーではパタゴニアの製品にかかわらず、他社で購入した衣類の持ち込みも歓迎。気にいっていたのにジッパーが壊れて使えない、亡くなった母が繕った思い出のズボンをもう一度履きたい…修理に訪れた依頼主たちの語るストーリーを聞きながら、パタゴニアの縫製のプロたちが一着一着ていねいに修理をほどこしていきます。「The Worn Wear Mobile Tour」の様子を伝えるサイトには、再び息を吹き返したお気に入りを手にした人々の笑顔と感謝の言葉にあふれています。
御用聞きはソーラー搭載バイオディーゼル車
6週間の「The Worn Wear Mobile Tour」を駆け抜けたキャンパーは、91年式のダッジにウッディーなシェルを載せた改造車。サンフランシスコをベースに活躍するサーファーでアーティスト、デザイナーのジェイ・ネルソン氏の作品です。
なめらかな楕円に丸い窓が三つ並んだ車のボディーは、三角形や四角形を組み合わせた多面体風の作品が多く見られるネルソン氏には珍しいもの。ボディーにはセコイアの木でできたワイン樽が再利用され、燃料には廃油を精製してできたバイオディーゼルが使われています。企業のグリーンなイメージをうまく体現したネルソン氏の手腕はお見事という他ありません。
環境のために一枚を長持ちさせるという美学
衣類の製造が環境に与えるダメージを抑えるために、一枚の服をできるだけ長く着ることを応援するという、衣類メーカーとしては異例のポリシーを掲げるパタゴニア。耐久性の高い丈夫な製品を作ることはもちろんのこと、長く着てもらうためにはそのアイテムと個人の関係性にフォーカスし、手放したくなくなるよう働きかけることだとパタゴニアの環境部門のディレクターであるRick Ridgeway氏は語ります。
直しても着たいほどお気に入りの服には、本人にしか知りえない特別な理由があるものです。そのストーリーを発掘し、長持ちさせる補修をほどこし、日頃のお手入れの仕方を伝える。一見地味なこれらの活動が、新たな衣類の消費を抑え、環境に与えるダメージを減らすことにつながっていくのでしょう。
欲望のおもむくままに消費を繰り返していては、大量のモノに囲まれて、ひとつひとつの物と向き合う時間や愛着も薄まってしまうばかり。服に限らず、身の回りの物も、住む家も、好きならとことん手をかけて大切に使う。「The Worn Wear Mobile Tour」でパタゴニアが伝えたかったメッセージは、小さな住まい方のマインドにも通じるものがあるのではないでしょうか。
Via:
patagonia.com
jaynelsonart.com
business.transworld.net
latimes.com