第11回:生きる芸術「空き家の問題を資源に転換する技」|芸術は、生きる技術 

おじぞう
こんにちは。夫婦でアート活動をする檻之汰鷲(おりのたわし)の夫こと、石渡のりおです。昨年の秋から古い家に夢中で、愛知県津島市で計画してきた空村プロジェクトに始まり、引き続き取り組んでいる、題して「古家採集活生計画」の話をします。

空き家が増える原因と課題

空き家を更地にして税金が6倍になれば、そのままにする人が増えるのも仕方ないように思います。今年の5月末には特別措置法が施行され、使用されない古い家屋は、行政から解体要請が可能になり所有者にとって、ますます大きな負担になっています。
その一方で、都市には人口が密集し土地の価値は高騰したままで、空間を手にいれるのは容易ではありません。新しく何かを始めるにも、リスクが高くて挑戦する勇気も失います。ところが、必要な空間は、空き家と呼ばれる古い家屋に存在しているのです。持つ者と持たざる者をマッチングして、空間を有効活用できないのでしょうか。

空き地

数々の壁を乗り越えるためのDIY

空き家の問題は、(1)資金の問題 (2)構造補強の問題 (3)政策の問題 (4)ミスマッチの問題 (5)相続の問題 等々が複雑に絡み合った総合問題で、所有者の状況によって、それぞれ異なります。
ひとつには、古い家の再生を困難にする建築基準と資金の問題で、安心して住むためには、1981年以前の家には施されていない耐震基準を満たす必要があり、耐震診断から工事の施工まで数百万単位の費用が必要になります。

突破口としては、古い家に利用価値を与える、リノベーションや改修という方法があります。DIY(Do It Yourself)として、自分で手がけ費用を抑える成功事例もあります。
調べてみれば、数多くのプロジェクトや移住計画、地方自治体の取り組みなどの成功事例がみつかります。そうした事例を共有資源として、それぞれ所有者の状況に合わせて、まずは個人の行動(DIY)で解決しよう!これが「古家採集活生計画」です。

アフリカ民家

古家採集活生計画のススメ

1. 空き家・古民家再生とは所有者との対話である。
2.古い家は、未来の文化遺産であり民俗資料である。

空き家と呼ばれる家の状態
A 半壊‐朽ちた状態。
B 改修‐基礎に問題がある状態。耐震診断や改修を要する物件。
C 普通‐使っていない家がある。
D 不良‐若干の修理が必要。荷物があり掃除や片づけが必要。
E 良好‐活用したいが自分ではやれない。手伝ってもらえたら活用したい。
F 最上‐素晴らしい物件だが貸したくない。記録しておきたい。

空き家や古い家の価値は、空間の活用だけではありません。古い家からは、営まれてきた暮らしの痕跡、当時の職人の仕事に出会うことができます。利用価値が見いだせずに放置する古い家には、暮らしてきた家族の歴史だけでなく、日本人の生活の記憶が刻まれているのです。家はそこに暮らす人と共に生きているのです。
実際にその地を訪ねて、記録すれば、未来に価値ある資料を残すことができます。活用できる・できないに関わらず、すべての古い家屋がこの計画の対象です。

古家採集活生計画の現在

元呉服店の町屋

町屋
祖父母と共に暮らしたお孫さんが家を引き継ぎ、ご自分で手入れや修理をしてきた物件。築100年近い経年劣化の勢いに追い越されそうなため、屋根の修理や家のなかの荷物の整理などを手伝う計画です。まずは掃除や修復をして、その後、活用方法を募集します。

0円でいきなり大家?!

長屋
愛知県津島市の長屋(空村で計画していた物件)。DIYで施工できる耐震技術の開発にフォーカスして、住みながら、どのような技術であれば耐震化に十分なものか、DIYに適しているのかを検証します。
オーナーは、京都大学で耐震工学を研究されたことがあり、米国の博士号を持ち、つい最近になって、なんと(!)DIYによる耐震化工法の特許出願までしました。
オーナーは、この長屋に住んでDIYによる耐震化工法を実際に適用してみたい方には「0円でいきなり大家さん!?」のプランを提供するとのこと。(興味がある方は、個別にお問い合わせください。)

DIYとは木を切ることや工作することではない

DIYとは「自分でやる」という意味です。やるぞ!と決意して行動するなら、手段は、いくらでもみつけることができます。また、長屋のオーナーのように、未だない技術をつくることもDIYです。「できないことをやる。それができれば、どうやればいいのか分かる」のです。
やろうにも、状況が許さないケースもあります。例えば、土日の限られた時間で家の活用を計画する難しさや、遠方の実家がその問題に直面していても頻繁に帰ることができない状況や、いますぐではなく将来の問題など。日本の国土に広がる空き家820戸分の空間は、公共のモノでもなく捨ててあるわけでもなく、個人の所有物です。そこで所有者のお手伝いをして、問題の空間を活用できる資源へと転換させるのです。

景色

活かす技術は、生きる芸術

日本には四季があり、自然に恵まれた美しい国です。空き家の活用や古い家屋を記録するきっかけがあれば、観光地ではない、人との出会いがなければ訪れないような土地に行くことができます。日本全国の土地を訪ねて、それぞれの風土や暮らしを体験しながら、インターネットの情報網を活用して空間があることを伝えていきます。個人レベルでマッチングを繰り返していくのです。
わたしは何処へでも行きますので、相談から掃除や修理、各DIYのサポートまで、空き家や古い家の活用に関してご用命ありましたら、ご連絡ください。
これは、よりよい社会をつくるためのアート活動「社会彫刻」です。時代は常に未来へ進み、できなかったことができるようになる現在、誰もができる「DIY」を目指してお手伝い致します。

空き家・古家採集活生計画
問い合わせ先:
石渡のりお
mail:norioishiwata@gmail.com
tel:070-6514-5912

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