洪水と戦う固いイシあり、石造りの土台が家を守る「The Shelter/Nha4 Architects」

Via: caandesign.com
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洪水に立ち向かう強い「イシ」があった。モンスーン(季節風)がもたらす雨は時に洪水となり、ベトナムの家々にとって大きな脅威となる。そんな風土に応じて改築されたのがNha4 Architectsの手掛けた「The Shelter」である。

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「The Shelter」の大きな特徴は石造りの土台。洪水対策として床面は過去の最高水位よりも高く設計され、高床式の家を支えて余りある頑強さが売りだ。
なぜ石造りなのか。ベトナムの歴史を紐解くと答えが見えてくる。ベトナムの建築様式は植民地時代に、統治国のフランスから多大な影響を受けた。その一つが石壁だった。古い家の多くが今でも石壁なのはそのためだ。頑強であることに加え、地震が少ないお国柄もあり、建設当時の面影を色濃く残している。

石造りの土台の上に構えるのが1階部分だ。玄関は地表から階段を上がった先にある。デッキが合わさったようなつくりで、日本の縁側に似ている。晴天の下で日光浴を楽しむこともできそうだ。
室内に目を向けると、改装されたリビングは70㎡。家具も少なくシンプルで、広く感じる。

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庭に面する壁は一面がガラスドアで、開放的なつくりである。強い日差し除けにすだれを使用。カーテンやスクリーンよりも親しみがもてる。
間仕切りに使われたレンガは、プライバシーを保つだけでなく、外観との調和が美しい。
屋内の壁は白色で統一され、部屋の境はアーチ状にデザインされて柔らかさを生んでいる。このアーチの曲線はフランスの影響だろうか。外壁の直線的なラインと赤レンガとの対比も鮮やかだ。色使いとラインのコントラストにとても洗練された印象を受ける。

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昔と今を写真で見比べると、大きく変わったのは床の高さだけ。そのほかは機能的な変化があまりない。しかし、洪水被害に悩まされなくなり、ストレスがかなり減ったことだろう。わずかな工夫で、土地の気候と折り合い、ストレスフリーになれるよい例である。

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(文=加藤聖子)

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