岩なの?家なの?どっちも正解、岩をそのまま利用した家「stone house」
まだ僕らの祖先が農業を行う前、僕らの祖先は洞穴に住んでいたと聞く。
自然を加工し、石や木を使って家を建てるのは、そのずっと後のこと。機械工具なんてもってのほか、金属器だって手元に無い時代だ。ご先祖さまは、雨風をしのぐために、岩のくぼみや、洞穴や、木のかげに、縄を張り、倒木を立てかけて、自然に少しだけ手を加えて暮らしていたのだろう。
ポルトガルの首都リスボンから車で3時間の山間の町ファフェ。ここに先史時代の住居を思わせる岩の家がある。
ファフェは、標高650mの山間の町。山道にぽつねんと建っているこの家は、遠くから見ると岩のそのもの。しかし、近づいていくと壁や屋根が見える。
家が建てられたのは1970年代で、近くに住む家族の休暇用の家として建てられた。設計者は不明だが、おそらく地元の大工さんが手がけたものだろう。
居住空間は8坪ほど。外壁は周囲にある石を積み上げ、セメントで固めてあり、内部は暖炉や収納、ベンチなど家財道具を備えている。
岩に囲まれているため、内部は暗いかと思いきや、いくつか設けられた窓から射す光で、屋内は意外と明るいのに驚く。
また、岩自体が蓄熱するため、冬場でも暖かく暮らせるそうだ。
岩をそのまま利用した家は、同じくポルトガルのサンモントという町でも見られる。岩をそのままの形で利用し、その間に壁や屋根を備え付け、今も人々が生活しているそうだ。
そこにあるからそのまま使う、整えるのは大変だからそのままでいい。おおらかなのか、それとも怠け心なのか。しかし、それがこの家の魅力になっているのは間違いない。
(文=スズキガク)
Via:
templebiomimetics.wordpress.com
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Feliciano Guimarães