人が集う、遊具にもベンチにもなるオブジェ、陸に上がった浮標(ぶい)「Sømærke」

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1884年から1885年にかけて、デンマーク政府は、船旅の安全を図るため、400kmに及ぶ海岸線に、25の浮標(ぶい)を設置した。現在、老朽化した25の浮標たちは、GPSなどの技術革新や航海技術の進歩により、その役目を果たし終え、姿を消しつつある。

2015年、海に沈みゆく浮標たちの魂は、その勇姿を讃えた地上の浮標として、海岸線に集う人々のランドマークとなった。
※紛らわしいと思うので説明しておくと、このオブジェは浮標を再利用したものではない。

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ベルリンの建築家とロスのキュレーターによるデザイン事務所KWYが手がけたインスタレーション「Sømærke」は、2015年6月から7月にかけて、デンマークのオーフスの海岸に設置された。「Sømærke」はデンマーク語で「浮標」を意味する。

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海の道標は、周囲に馴染みながらも、目に付くものでなければならない。「Sømærke」は、肋骨状に組み上げた木材による無数のフレームで構成されている。それらフレームにより生まれる視覚効果「モアレ」により、その存在感を現しながらも、海辺の景色を邪魔しない。

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この「Sømærke」は、海上の浮標とは違い、海岸に訪れた人々が、手に触り、実感することができる。「Sømærke」は、海岸の景色を再認識できる装置になりうるし、また、腰を掛けて、沈みゆく夕日を眺める恋人たちの無言の語らいの場にもなりうる。

デンマークの海岸線と、人との関わりを感じさせてくれるインスタレーション「Sømærke」は、自ずと存在を示しながらも、人間の為せる技として、周辺環境を活かすことが可能だということを再認識させてくれる。
日本の海岸線にも、この「陸(おか)の浮標」を設置すれば、高額な護岸工事や公園整備などせずとも、人々の憩いの場となるんだろうなぁ。と想像してしまった。

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