古い街並みに突如として現れたのは、未来を見据えたキューブ型住居「Boxhome」
ノルウェーの首都オスロは、1048年ヴァイキング王ハーラルによって氷河による浸食作用によって形成された複雑な地形の湾や入り江、通称「フィヨルド」の奥深くに設立された。一方をオスロ・フィヨルド、他の三方を山に囲まれた街並はノルウェー文化の中心地であり、緑豊かな自然と見事に調和し、美しい景観を作り上げている。
現在もルネッサンス様式の街並みが残っている地域に突如として出没した場違いなメタリックキューブ。宇宙からの飛来物か、はたまたNASAが開発途中の見てはいけないナニかだろうか?
この小さなキューブには、一体何が入っているのだろう?
ちょっと怖いが、中をのぞいてみたいと思う。正面の黒っぽいところに扉があるようなので開けてみる。ここはガラスの引き戸になっている。中を見ると意外やぬくもりのある木材で建築されているではないか。いかにもスカンジナビアンな実にシンプルなデザインだ。
この家はおひとり様もしくはカップル向けの住宅として建てられたそうだ。この家の中央にあるのがリビングルームだ。この小さなキューブの1階スペースにはキッチン・ダイニングスペースと浴室があり、2階にはリビングとベッドルームが収まっている。中央に置かれたハシゴが二階と階下をつなぐ。十字に切られた窓からは外光が差し込み部屋を照らす。
「Boxhome」と名付けられたこの家は、家の中央を十字に切り取った窓が特徴的だ。この木造で骨組みが作られた家はガラスウールの断熱材が使用されている。それにより照明と暖房のエネルギー使用を最小限に抑えるように設計されている。一年の半分は冬で、かなりの極寒となるノルウェーでは、暖房費を如何に削減するかというのは大きな課題だ。
昨今、建築活動が全世界のエネルギーと材料消費の1/3を占めているという事実がある。ここには運送のエネルギーは含まれていない。成長し続ける経済と、より大きな家を求める傾向があるスカンジナビアのような地域にとって、考えなければいけない課題ではないだろうか。また、大きな家のほかにスカンジナビアでは夏の家と言われる別荘を持つ人も多い。
そんな地域で建てられたのが、環境に負担をなるべくかけない家「Boxhome」だった。
建築家のRintala Eggertsson は2007年にこの家を建築し、小さな家は、かなりの経済的、環境的な利点を施主にもたらすことを証明し、消費主義に警鐘を鳴らした。このプロジェクトではスペースに重点を置き、建築材や光の入れ方や、周りから身を隠す隠れ場所として最適なものが検討された。なお、これはプロトタイプとして作られたもので、オスロの中心にあるGalleri ROMで展示されたものだ。
実際の住み心地は分からない。それでも人類の目の前にぶら下がった大きな問題にしっかりと向き合い解決策を考えていく姿勢は、我々日本人も見習わなくてはいけないだろう。
Via:
ri-eg.com
dezeen.com
inhabitat.com
openbuildings.com
archello.com
ja.wikipedia.org