オトナの雪遊びは伊達じゃない。雪を求めて旅するモバイルハウス「Mobile 241」

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4年も続くカリフォルニアの干ばつの原因は、シエラネバダ山脈の雪解け水の減少と言われている。彼の地のスノーボーダーたちも、雪のないフィールドに頭を抱えていることだろう。しかし、非常時にこそ、雪遊びの達人はその才覚を表す。サクッとDIYで作ったモバイルハウスを引き連れ、最高の雪を求めてアラスカまで出かけてしまうのだから。
彼の名はマイク・バシッチ。それまで住んでいた広すぎる家よりも、今は縛られないこのトレーラーハウスがお気に入りだ。

トレーラーハウスの見た目こそ質素だが、マイクはプロのスノーボーダーとして世界各地のトーナメントを総ナメにした賞金王だった。当時の年収は17万ドル。372㎡の広い家に住んだことだってある。でも彼が本当に求めていたのは、雪にいつでも触れられる山の中で、愛犬と過ごす小さな暮らしだった。

シエラネバダ山脈のタホ湖周辺は、アメリカ屈指のスノーリゾートとして知られている。マイクはそこに16万㎡という広大な敷地を入手し、5年もの歳月をかけてDIYで小さな石造りの家を建てた。露天風呂のある、自家発電のミニマルな家だ。プライベートゲレンデを思う存分楽しめるように、スロープには仲間と一緒に手作りでリフトも取り付けた。彼の思い描いた理想郷は「Area241」と名付けられ、日の出日の入りに合わせて寝起きするような、自然のリズムに則したライフスタイルの拠点になっている。

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ところが近年の積雪の少なさはどうだろう。Area214とて例外ではない。じっとしているのは性に合わないのか、マイクはこれまでガレージセールなどでストックしてきた格安の資材を使い、たったの3週間で、愛車のDodgeで牽引できるモバイルハウスを完成させた。これならいつでも雪質の良いロケーションを求めて、ノマドよろしく気の向くままに移動することができる。

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モバイルハウスの外壁に使われたトタンの波板は所々さびていて、大きさだってバラバラだ。けれどもマイクがひとたびそこに立つと、外壁はいつの間にか1枚の巨大な抽象画のキャンバスに見えてくる。彼のたたずまいは、どんなチープな材料だってとびきりクールに見せてくれるパワーがあるようだ。

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室内の広さは約12㎡で、寝室のロフトを合わせても16㎡に満たない。彼がタホ湖に近いトラッキーに作り上げたArea241の床面積(≒28㎡)よりもずっと小さい。だが天井を北米の道交法で許される最大限の高さにしたことで、室内は予想した以上に快適なのだそうだ。

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屋根に取り付けた太陽光パネルとバッテリーで日常生活を送るのに十分な電源は確保できた。キッチンのクラシックなコンロはガレージセールの戦利品。このオーブンで小さめのターキーを焼いて食べることもある。入口近くに薪ストーブを置き、安全のため煙探知機も取り付けた。

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モバイルハウスの良い点は毎回違う場所に暮らせることと、旅先でホームシックにならないことだとマイクは言う。Area 241という魅惑的な王国を持ちながら、今では身ひとつでここに暮らすことができたらいいのにと思うこともあるようだ。

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人生の大半をスノーボードに捧げ、今なお飽きることなく各地のバックカントリーを攻め続けるレジェンド。人間、中年と呼ばれる頃になると、人生楽しんでいるか否かが顔つきにも表れてしまうものだ。しかしマイクの笑顔からは、退屈とか空虚といった負の感情は読み取れない。彼は賞金王の冠をはずした後も人生を遊び尽くす天才であり、そのライフスタイルに憧憬の眼差しを向けるオトコたちの希望の星であり続けるのだろう。

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