たった5.3坪、穀物用倉庫を改造した狭小ハウスの中身とは?「Grain Silo Tiny Home」
建築家クリストフ・カイザーは、妻と一緒に暮らすための小さな家を探していた。そして見つけたのが、カンザス州のある農家のもとにあった、一つの穀物用倉庫だった。
倉庫と聞くと、薄暗くて、じめじめとほこりっぽい……
果たして、そんな空間を人が暮らせるようにリノベーションすることなんてできるのだろうか?そんな疑問を吹き飛ばすかのように、倉庫を快適な住空間に変身させてしまった、彼の究極のDIY術を紹介しよう。
まず、彼が一番こだわったのは、建物の最大の特徴でもある「曲線を活かす」こと。
この家は、まるで外と中の空間が一体化しているかのように、すべての物が曲線で構成されている。
室内に入ると、外観の印象は大きく変わる。落ち着いた茶色が特徴的なくるみの床材が多く使われ、黒のスチール製のキッチンや階段と美しいコントラストを描いている。そして、すべての家具が家の輪郭に沿うように、曲線で構成されている。キッチンやソファ、棚までもがそれぞれの隙間を埋めるように少しずつカーブを描いてうまく配置され、円形の家の中にすっぽり納まっているのだ。
ここは倉庫?いやいや、どこかホテルの一室にいるかのような感覚にさえなってしまうほど、洗練された空間が広がっている。
リビングにある、らせん階段を上っていくと、そこには寝室用のロフトが現れる。壁にはプロジェクターを投影することができるようになっており、寝室のベッドでくつろぎながら映画を楽しむこともできる。
さらに、リビングには、3メートル近くもある大きな窓があり、明るい陽射しが部屋の中まで届き、開放的な空間を作り出している。そしてやはり、窓もゆるやかな曲線を描いている。元々、倉庫に備え付けられていた窓は、そのまま開閉式の天窓になり、リビングの窓と同じように、この家の風通しを良くしてくれている。
円形の建物に合わせて、すべての家具や窓までも曲線にしてしまったクリストフ・カイザー。一見無駄なことのようにも思えるけれど、この家には彼の思いと手づくりの温かさが詰まっている。