スロベニアの山の上、ほぼ崖の上といってもいいような場所に、1軒の山小屋があります。これは、ハーバード大学の学生達が授業で設計した山小屋です。指導したのは、スロベニアを拠点に活動する建築事務所のOFISです。

このプロジェクトは、50年ここでシェルターの役目を果たしていた、古い山小屋の建て替えプロジェクトとして始まりました。この過酷な環境下に建築するには、デザインだけでなく素材の選定や工法の選び方も重要です。基礎は直接岩盤に金具で固定されていて、素材は激しい雷雨や、急な温度差にも耐えられるようなものが選ばれています。こんな厳しい条件下の建物を学生のうちにデザインできるなんて、とても良い経験になりそうです。

また、シェルターとしての役割だけでなく、この山を登ってくる人々に感動を与えるのも山小屋の立派な役目です。厳しい山登りに耐え、この山小屋にたどり着いて中からこの景色を見た時、きっと皆が感動することでしょう。開口部は大きく取られ、この絶景を十分に活かしています。

外から見た形は、この地方に昔からある伝統的な三角屋根の小屋です。しかし、大きくとられた開口部や屋根などの色から、とてもモダンな雰囲気が伝わってきます。伝統を守りつつ、新しいものを作るというのは、いつの時代も難しいものですが、このデザインは成功例といえるのではないでしょうか。

晴れた日には満点の星空が眺められる、このアルプスの上に建つ山小屋。学生が設計したとは思えないくらい、洗練されたデザインになっています。本当に必要なシェルターという機能だけを残したこの山小屋。こんな山小屋で過ごしたら、過酷な登山の疲れも飛んでしまいそうです。

Via：dezeen.com