脱住宅ローン!412万の資金で自分たちで家を建ててみた「€25K House Prototype」

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Via: dominicstevensarchitect.net

家とはあなたにとってどんな存在だろうか?
多くの人にとっては自分の家を建てることが夢であり、結婚したら、あるいは生涯独身だとしても自分だけの城を建てるというのは多くの人の望む幸せのひとつだろう。

それでもたとえ小さな家だとしても、家を建てるとなると大ごとだ。現代を生きる私たちにとって、家を建てるということは、家を建築家や建築会社や住宅会社から購入することであり、それには膨大な金額がかかる。

私の周りにも素敵な家の代わりに、勤務年数ギリギリのローンを抱え、必死に働いている友人も多い。家を建てるということは、まさに生涯を賭けた買い物なのだ。

もし、夢の家が人生を賭けたような大きな買い物をしなくても入手できるとしたらどうだろう?今回ご紹介するのは、アイルランドに住む人物のとある試みだ。

かつてアイルランドでは、地方部では家屋は地域の住民の手によってつくられることが多かったそうだ。それはとてもシンプルで素朴な建物だった。

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それが現代でも可能なのではないかと、考えたのが当時アイルランド北西の街リートリム州を拠点に活躍していた建築家ドミニク・スティーブンスだった。彼は自分自身の家族のために家を建てようと決意したが、あいにく手元の資金は限られていた。彼が使えたのは25,000アイルランドポンド(約412万円)だけだった。

そこで建築家ならではの柔軟な発想で考えたのが今回の「£25K House Prototype」だ。プロトタイプと言うだけに彼はこの住居を試作品として、その試みを人々に公開すべく、ウェブでこの住居を建築する工程を惜しみなく紹介している。

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彼は、ウォルター・シーガル卿によるセルフビルド住宅構法に触発され、この家を木造軸組によって建築することにした。彼が建築に要した期間はたったの50日間。と言っても彼は仕事もしなければならなかったので、2年に渡って、仕事の合間に50日かけて建築したことになる。家は、彼だけではなく彼の友人、家族、近所の人や幾人かの専門家の手を借りることによって建築された。文字通り手作りの家だ。

建築家と妻とふたりの子供のための家は、600平方フィート(約55.74㎡)の2階建て3ベッドルームの広さを持つ。木造住宅で耐候性を持った植物系材料でできたトタンを屋根や壁面に採用した。大豆を材料にした断熱材があたたかく家を包み込む。この家で使われている暖房は1.5キロワットの小型Dimplexのオイルヒーターだけだが、極寒のアイスランドの冬でも十分快適に過ごせる。

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家の中を見てみよう。

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1階の南側は吹き抜けになったリビングとダイニングスペース。南に向けて大きな窓が作られており、そこから外光がさんさんと差し込む。この造りは伝統的なアイルランドの家屋に良くみられるものだ。ふたりの子供のための2つのベッドルームは北側にある。そして南北を隔てるようにキッチンが家の中央にある小さな閉ざされた空色の壁の中に隠れている。キッチンとベッドルームの間にはこの家で唯一のバスルームがある。

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2階に行くにはキッチンの横に作られた階段を上る。階段はリビング側からは本棚として使えるように、本のサイズに合わせて仕切りが作られている。階段を上るとすぐに夫妻のメインベッドルームがあり、その奥が大きなウォークインクローゼットだ。

とてもシンプルな造りだが、どことなく日本の住宅のようなレイアウトで親近感が持てる。1年この家で過ごした彼らの感想は、「とても楽で快適だ」とのこと。

建築家ドミニク・スティーブンスはインタビューでこのように述べている。

「今は多くの人がローンの負債に陥り、銀行からお金を借りることもままならない時代です。そんな時代でも自分自身で家が建てられるということを私は証明したかったのです。家を建てるために住宅ローンに捕らわれなくても良いのです。アイルランドの地方には代々受け継がれてきた住宅建築の知識があるからです。我々はかつて住宅をそのように建築していたのです。技能がすでにあり、共有されてきたのです。人々はそれぞれの家を作るときに協力し合えばよいのです。現代、家を建築するということは、家を建てるということよりも、それ自体が商品となってしまっています。」

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日本でもかつて村々では家を建てるのに村人総出で手伝った過去がある。我々の原点に返るということは面白い試みだ。しかしながら、これを日本でやるには、耐震性などを含めいくつかの問題をクリアしなければならないだろう。ちなみにアイルランドは温泉も有名だが、日本のような地震はあまりない。

そのようなことを踏まえても、生涯ローンに悩まされるよりも、その1/4以下の額で、自分自身で家を建てる方がよっぽど人生をより有意義に生きられるのではないだろうか。

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