木漏れ日がきもちいい、ヨガ講師が暮らす地中海クレタ島のオフグリッド・トレーラーハウス
「部屋は、持ち主のアタマの中を表している」という言葉を聞いたことがある。選ぶ家具や散らかり具合などから、趣味嗜好や心の乱れ具合が分かってしまうという意味らしい。そんな言葉を、部屋どころか家そのもので体現しているタイニーハウスが、ギリシャのクレタ島にある。
島の名産であるオリーブの木に囲まれて丘のふもとに佇む、白くすっきりとした外壁の小さなトレーラーハウス。この家の持ち主はイギリス出身のヨガ講師で、夏の間クレタ島で働くためにこの家を作った。
内装は、やさしさを感じさせるウッド調。向かって右側がほぼ全面ガラスであるにも関わらず、左側には天窓が配置されていて、太陽がどの方角にいても存分に日の光を取り入れることができる。奥には寒さ対策の薪ストーブもあるので、冬でも快適だろう。ストーブの下の床部分と後ろの柱には家主が自分で見つけたタイルを貼りつけて、内装のアクセントにしているのもポイント。
地中海に位置し日照条件に恵まれているクレタ島、この光を活用しない手はない。この家の電気はソーラーエネルギーですべてまかなわれていて、天井にはLEDライトが設置されているし、キッチンには冷蔵庫もある。
夜間も、十分に明るい環境にいられるので寂しくない。薪ストーブからのやさしい灯も素敵だ。
ちなみに、ストーブの裏は本棚になっている。狭いながらも棚や引き出しが様々な場所にあって収納力はあなどれない。この薪ストーブは居間スペースとベッドルームのスペースをさりげなく区切る役目もしていて、奥にはダブルベッドを設置することもできるという。
そして環境に配慮しているのは電気だけではない。ウッドデッキの先の別棟にあるトイレはコンポスト式。真夏の月間降雨量が1mm程度のクレタ島では水を使わないコンポストトイレはありがたいシステムだ。
ちなみに、家には水道が引かれ、シャワーや調理の水はしっかりと利用できるのでご安心を。
先ほど冷蔵庫に少しふれたけれど、小さいながらキッチンも完備している。コンロはガス式なので、食材にしっかり火を通すことができる優れものだ。
このオフグリッドハウスは、デザインや環境配慮などすべてにおいてシンプルで押しつけがましくないさりげなさがある。ここに住むヨガ講師は、きっとこの家のように爽やかですっきりとした人物なのだろう。
(倉田直子)