不自由さが生み出す贅沢、原野を見下ろす山の上の家「Sky house」

Via: p4ma.com
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ワシントン郊外では、山々が連なりなだらかな美しい曲線を描いている。その山麓地帯の山のふもとに建築家が自身のために建てた住宅がある。澄み切った空気を吸い込み、目の前に広がる景色を自分だけのものにするための家が「Sky house」だ。


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建築家のJesse Garlickは以前、妻と子どもの3人で交差点を見下ろすバンクーバーの小さなアパートで暮らしていた。都会での暮らしは便利で快適だ。食べたいものは何でもそろうし、欲しいものがあればインターネットで翌日に届くのが当たり前の生活。しかし、彼は自身の独立を機に、住まいを山麓のSky houseへと移すことを決意する。

「そこには解放と孤独がある」。Garlickにとって、この場所で暮らすことは、小さなヨットで大きな海の上を漂うことと似ているという。大海原に漕ぎ出したヨットのように、視界が大きく開くと同時に、周囲には静けさが広がる。この建物は、そんな孤独と解放感の絶妙なバランスを壊さないよう、設計にも細かな工夫が施されていた。

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床面積約76㎡のSky houseの外壁には、スチール製の材料が使われている。これは、周囲に広がる岩盤の黄褐色と美しいグラデーションを描くように設計されたものだ。さらに、ミネラルウールと呼ばれる、鉱物を溶かして作られた断熱材が使用され、外からの冷たい空気を遮断する役割を果たしている。

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敷地内には大きなソーラーパネルが取り付けられ、太陽光発電だけで生活に必要な電気の100%をまかなうことが可能だ。暖房や調理にはプロパンガスを、水は井戸水を利用し、自給自足の生活を実現している。

室内の作りもシンプルで美しい。一階部分には山を見下ろすように南側に大きな窓が配置され、開放的な空間を演出している。

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可動式のベッド兼ソファーは、寝台列車からインスピレーションを受け、ゲスト用に用意されたものだという。ベッドを下げると、バスタブが隠れるというユニークな仕組みだ。

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さらに驚きなのが、Sky houseは4人のチームで、わずか3日で建設されたこと。プレハブ工法が採用され、現地では組み立てだけを行うことで、短期間での建設に成功した。

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「田舎暮らしは素晴らしい。しかしたくさんの厄介事の解決に当たらなければならない。それでも、温帯雨林のような雨のバンクーバーを離れてこの土地でハーブの香りをかぐと、魔法のような瞬間になるんだ」。

彼の田舎での新しい生活のスタートは、自分らしく、本当の気持ちを大切にして暮らしたいと思った結果なのかもしれない。不便だけれど潤いのある日常は、私たちにも新しい暮らし方のヒントを与えてくれる。

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