大人も子供もお年寄りも集まれ、北京の古い町並みに現れたコミュニティーの拠点「微胡同」

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ある程度国が発展していくと、人々はみずからの文化や歴史に対して郷愁のようなものを感じてしまうのだろうか。

かつて日本でも古い建築を壊し、鏡張りの近代的なビルに街がどんどん変貌した時代があった。北京オリンピックを終えた北京も同様に古い街並みが破壊され、新しく近代的なビルがその代りに立ち並んだ。
北京でこんな試みが出てきたのは、その反動だろうか。

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北京デザインウィークでは、北京の大栅栏地区の歴史保存と活性化を目的として、大栅栏プラットフォーム協会と家具会社のCamerichが共同した。その活動の中で、大栅栏地区の梅竹斜街にたった30㎡の「Micro-Futong(微胡同)」を建築する実験を試みたのが、北京を拠点に活躍するZAOスタンダードアーキテクチャだ。

中国の昔ながらの町並みが残る「胡同」に住む人の多くは、最貧困層にあたる人びとが多い。近年、胡同につきまとう負のイメージや、不動産会社などの働きかけにより、胡同での生活を捨て、郊外の新築マンションへと移転していく人々が増加しているそうだ。

このプロジェクトの目標は、建築家ならではの視点を通して、歴史ある胡同の保存を図りつつ、最貧困層の生活水準を上げることだった。

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さっそく「微胡同」の中を見てみよう。

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入り口は昔ながらの門のまま。正面からは中が見えにくいように少し角度のついた鉄のトンネルをくぐる。

この入口は好奇心がそそられる。トンネルを抜けると、そこはベニヤ板とガラスでできたキューブが積み木のように重なって建っているのが見える。キューブの建物が周りを囲む中庭に立って空を眺めると、キューブに縁どられた空が見える。それは、建物と自然が織りなすアートのように見える。

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ここは子供たちが遊ぶにはうってつけの場所だ。大小さまざまなキューブが積み重なり、キューブとキューブの間にはハシゴがつけられ移動できる。ガラス窓を通して、中で近所の子どもたちが遊んでいるのが見え、地中に巣を張るアリの巣の断面図を彷彿とさせる。

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Standardarchitecture, Mirco-Hutong, Dashilar, Beijing Design Week, 2013
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ここでは近隣のお年寄りも集まって子供たちの元気な姿を眺め、昼下がりのひと時を過ごす。さまざまな人が訪れ、交流し、新しい社会を形成していく小さなコミュニティーだ。

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核家族化が進んでいる中国。胡同の保存だけでなく、さまざまな年齢層が集まる交流の場は、中国の人々の心を支える拠点にもなることだろう。

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