南国だからできた、開放的なコミュニティセンター「BES Pavilion」
ベトナムのハティン省はハノイから341㎞の場所にある、中北部に位置する省だ。一年を通した最低気温が15℃、最高気温は40℃と一年を通して比較的温暖な土地だ。今回は、ハティン省ハティン市の中心にできたコミュニティーセンター「BES Pavilion」をご紹介したい。
「BES Pavilion」は温暖だからこそ可能な、オープンタイプの建築物。BES Pavilionの「BES」はBamboo(竹)、Earth(土)、Stone(石)の頭文字を取ったネーミングだ。地元の材料を使い、もともとベトナムで慣れ親しまれた持続可能な建築方法を採用している。
ベトナムは東南アジア諸国の中でも識字率が高く、勤勉で教育熱心な国民性が知られている。向学心豊かな国民性を反映してか、この「BES Pavilion」コミュニティーセンターは地域の人々に芸術と文化の学びの場として開かれた。
このセンターの建築工程は利用者との対話と参加を重視した。パビリオンは地域の人々と共に建築することで、空気力学(換気)、物理学(光拡散)、生物学(光合成や植栽)などの知識を伝えると共に、地域住民の行動を参考に、将来的に環境に配慮した精神が育まれるように考慮されている。
このセンターがあるのは住宅地の一角だ。周りとは雰囲気が少し異なる空間とはいえ、使われている資材が自然素材の為、違和感はあまりない。
芝生の上に石畳が敷かれた細い道が、二つの建物に挟まれたこのセンターの入り口へとつながる。
建物の間を通ると、中庭へ出る。18mx13mという限られた土地に、中庭をぐるっと囲むように建てられているパビリオンは全部で6棟。
すべてのパビリオンは伝統的な竹・土・石を使った建築方法が使われている。石畳のフロアに石材を積んで作った壁面に通りに向かっている窓は竹が斜めに編まれた格子戸風になっている。
屋根は竹筒が縦半分に割られ、交互に緊密に組み、傾斜をつけて設置され、雨が表の通り沿いに流れやすいように配慮されている。5棟はコミュニティースペースとして利用され、1棟はトイレとキッチンスペースとして使われる。
夜間は竹の扉の隙間から漏れる光が街路に落ち、まるでランタンのようだ。この建物で文化を学んだ人々によって新たなベトナム文化が発信される地となる日が来るのが楽しみだ。
Via:
archdaily.com
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