第23回:ILAND identityが出来るまで(前編)|女子的リアル離島暮らし

『未来住まい方会議 by YADOKARI』をご覧の皆さま、こんにちは。小説家の三谷晶子です。
年が明け、加計呂麻島での暮らしも今年で4年目に突入した私は、先日の2015年11月1日に現在私が住む加計呂麻島をテーマとしたアパレルブランドILAND identity(アイランドアイデンティティ)を立ち上げました。

Webのトップページは加計呂麻島の海です。
Webのトップページは加計呂麻島の海です。

ILAND identity webカタログはこちら→
http://iland-identity.jp/

ILAND identity SHOPはこちら→
http://identity.buyshop.jp/

ILAND identity Facebookはこちら→
https://www.facebook.com/ilandidentity/

どうして、私が加計呂麻島でアパレルブランドを立ち上げることにしたのか、今日はそのことをお話ししたいと思います。

Tシャツも水着も買えない島


私が住む加計呂麻島には飲食店も商店もほとんどなく、あったとしてもジュースやお菓子、日用品が少しある程度の日用品店ぐらい。
訪れた友人が水着を忘れたり、着替えが足りなくなったとしても、そう簡単に買える場所はありません。

山崎ひかりちゃんがILAND identityのために書き下ろしてくれたイラスト。加計呂麻島のこちらは徳浜という集落をイメージしたもの。
友人の絵描きの山崎ひかりちゃんがILAND identityのために書き下ろしてくれたイラスト。加計呂麻島のこちらは徳浜という集落をイメージしたもの。

そんなにたくさんのお店はいらないけれど、少しぐらい、加計呂麻島らしい服や雑貨が買えるお店があったらいいのに。
そんな風に私も思っていました。

立ち上げのきっかけは個人的に作っていたTシャツ


山崎ひかりちゃんの絵日記がすべての始まりでした。
山崎ひかりちゃんの絵日記がすべての始まりでした。

そんな時、第2回でも登場してくれた友人の絵描きの山崎ひかりちゃんが加計呂麻島に来島。彼女は、毎日絵日記を描いています。加計呂麻島に来た時の絵日記がとてもすてきだったので、個人的に彼女にお願いしてTシャツを作りました。
すると、島に住んでいる方々や、旅行に出た先で出会った人などに、「すごくかわいい、欲しい!」と何度も言われたのです。

あの絵日記がこのTシャツに。こちらは個人的に作ったものですが、今でも愛用しています。
あの絵日記がこのTシャツに。こちらは個人的に作ったものですが、今でも愛用しています。

山崎ひかりちゃんが、加計呂麻島に来たときの気持ちがきらめくように表れていたそのTシャツはもちろん私もお気に入り。そして、それを「島に住んでいる人」が、欲しいと言ってくれる。
そんな出来事がある中、格安で成田⇔奄美間を就航するLCCバニラエアの誘致が決まりました。

LCC就航で若い女性の観光客が激増、しかし、女性向きのお土産がない


奄美大島と東京間はバニラエアが来るまで通常運賃で片道5~6万円とかなり高額でしたが、バニラエアは通常で5000~7000円、セール時なら2980円の時もあるとかなりの安値に。
加計呂麻島がある瀬戸内町の古仁屋にある36の商店主で構成される任意団体せとうちポイント会の調査によると、バニラエアの就航により、特に関東在住の20~30代の女性が訪れる機会が増えたそう。

しかし、「若い女性が欲しいと思うお土産がない」「島らしいものを買って帰りたいが、見当たらない」という声もアンケート結果には多く見られました。

ILAND identityの商品のひとつ、ILAND HEART bracelet。こちらは加計呂麻島の夜をイメージしたもの。日本では奄美・加計呂麻島でしか作れないハート型の真珠マベパールを使用しています。
ILAND identityの商品のひとつ、ILAND HEART bracelet。加計呂麻島の朝と昼と夜をイメージした3色があり、こちらは夜をイメージしたもの。日本では奄美・加計呂麻島でしか作れないハート型の真珠マベパールを使用し、島在住のアクセサリー作家eriさんにデザインをお願いしました。
同じブレスの色違い。こちらは加計呂麻島の昼間をイメージしたもの。使っている天然石も少しずつ違っています。
同じブレスの色違い。こちらは加計呂麻島の昼間をイメージしたもの。使っている天然石も少しずつ違っています。

確かに、島を訪れた友人たちも、「島らしいワンピースが欲しい」「アクセサリーが欲しい」など言っていたし、私も島に似合う洋服やアクセサリーがあったらうれしい。そして、私が個人的に作った加計呂麻島の風景からインスパイアされた山崎ひかりちゃんの絵のTシャツは大好評。さらに、アンケート結果でも「若い女性向けのお土産が欲しい」という声が出ている。

これは、やってみてもいいんじゃないかな。

そう思ったことが、ブランドの立ち上げの始まりでした。

こちらもILAND identityの商品。島在住の女性が加計呂麻島のシェルやサンゴを使って作るドリームキャッチャーをチャームにしたトートバッグ。
こちらもILAND identityの商品。島在住の女性が加計呂麻島のシェルやサンゴを使って作るドリームキャッチャーをチャームにしたトートバッグ。
こちらはキャンバス地のトートバッグLサイズ。トートバッグはデニムのSとL、キャンバスのSとLがあります。
こちらはキャンバス地のトートバッグLサイズ。トートバッグはデニムのSとL、キャンバスのSとLがあります。

そこから、さらにTシャツ以外の商品を考えていったときに、加計呂麻島には、すでにすごぶるセンスのいい女性たちがいて、個人でアクセサリーを作っていたり、染め物をやっている方がいました。

加計呂麻島をイメージした商品を、加計呂麻島在住の女性たちと一緒に作る。

そう思うと、心がときめきました。

加計呂麻島在住の自然布処ののやにお願いしてシルクを加計呂麻島に生える木、フクギで染め上げ貝殻をつけたFUKUGI&SHELL chou-chou。
加計呂麻島在住の自然布処ののやにお願いしてシルクを加計呂麻島に生える木、フクギで染め上げ貝殻をつけたFUKUGI&SHELL chou-chou。

加計呂麻島は複雑に入り組んだリアス式海岸と山々に囲まれて30集落が点在し、各集落ごとに雰囲気が違います。
その各集落をイメージしたTシャツを3種類、加計呂麻島の蔓や貝殻を使ったドリームキャッチャー付きのトートバッグ、日本で、奄美・加計呂麻島でしか作ることのできないハート型の真珠、マベパールを使ったブレスレット、加計呂麻島に生える木、フクギで染め上げたシルクを使い、島の砂浜に落ちている貝殻をポイントにしたシュシュを立ち上げでは用意しました。

山崎ひかりちゃんが描いてくれた加計呂麻島のわたしが住む集落、諸鈍をイメージしたTシャツイラスト。
山崎ひかりちゃんが描いてくれた加計呂麻島のわたしが住む集落、諸鈍をイメージしたTシャツイラスト。
Tシャツはこちら。さらっとした素材で、首元の開きが女性らしいラインです。
Tシャツはこちら。さらっとした素材で、首元の開きが女性らしいラインです。

島に縁があり、島に関わり、島にいる女性たちと、自分たちが普通に欲しい、かわいいと思う「加計呂麻島らしい」ものを作る。

洋服やアクセサリーを作るのは初めての経験だったので、迷うところや戸惑うところもありましたが、元の始まりの気持ちはシンプルなもの。そこに立ち返れば、不思議と迷いは消えました。

次回は、ILAND identityのWebカタログを作ろうと思ったきっかけについてお話ししたいと思います。

参考:haralog「ハードへの公共事業をソフトに振り分け、地域経済が活性化  ~LCCの就航により追い風が吹く奄美大島・瀬戸内町~」
資料提供:せとうちポイント会