キャンバスのような亜熱帯のアトリエ「Atelier Álvarez/Nuovo」
バナナなどの熱帯果樹が生い茂る緑濃い庭に、くっきりと際立つ白い建物、こちらはパラグアイにある画家のアトリエである。遠くから見ると、まるでガーデンに備え付けられた大きなキャンバスのようにも見える。庭の景観を壊さずに、しかも個性が感じられるデザインである。
絵描きに必要なのは、光と机、キャンバスを置けるスペースであるから作りはいたってシンプル。コンクリートの土台の上に、黒いスチールの枠。白いメタルシートと木の壁、光を通す半透明なプラスティックボードからできている。屋根には大きく天窓がとられ、日中はとても明るい。
亜熱帯性気候の地域を抱えるパラグアイでは、快適に過ごすために、風通しがよいことも必須条件だ。入り口のドアは回転ドアのようになっている。庭に面した壁の足元にも窓があり、換気にも配慮した構造だ。アトリエ中央に設置されているのは作業用テーブルのみ。掃除もしやすい。無駄なものがないので、心置きなく創作に集中できそうだ。
プライベートリビングルームからは数歩で行き来でき、絵描きモードになったらいつでも移動して、作品作りに没頭できる。アーティストにとって何とも贅沢な空間ではないだろうか。
文=加藤聖子