第5回:スロウライフじゃ物足りない!バリキャリ女子も輝ける島|I LOVE 島男子♡
こんにちは、SUKI→JAPANの狩野です。先日生後5ヶ月の娘を連れて、しばらく行けていなかった第2の故郷、長崎県五島列島に行ってきました。妊娠するまでは年に3〜5回は通っていた場所。気づいたら1年以上ぶりです。
今年は長崎の教会及びキリスト教関連遺産が世界遺産に登録されるだろう、と期待されていた年。五島列島には候補となる教会が多数残っているため、登録に向けて観光客が急増することを見越して島の友人たちも急ピッチで準備を進めていました。
残念ながら今年の登録は見送りになりましたが、様々なプロジェクトが始まっていたことを知っていたのでそれらを楽しみに、福江島に向かいました。
意外と便利!インフラ整う島暮らし
福江島は人口が3万7千人(2010年度国勢調査調べ)、離島の中でも11番目に大きな島です。教会だけでなく、日本一美しい砂浜と称されたこともあるビーチや、九州百名山の一つの七ツ岳、温泉など、多くの観光資源に恵まれています。
生活する場としても、総合病院や学校はもちろん、夜遅くまでやっているスーパーや24時間営業のコンビニなどもあり、中心部は離島といって想像する田舎暮らしとは違い、とても便利なようです。
食環境も非常に豊かで、魚貝だけでなく牛や豚も飼育されており五島牛、五島豚というブランドになっている程。肥沃な土地で、野菜や果物も多く栽培されています。
一方で、観光客として訪れると正直良質な宿は非常に少なく島の豊かな食資源を堪能できる飲食店は十分ではないように感じます。
素材豊かでコストも安い! 女性も仕事をつくりやすい島
これまで私たちは、都会のバリキャリ女子向けに島暮らしの提案を行ってきました。多くの島がある中で特に福江島を推している理由は縁があったからということもありますが、客観的に見ても自分で仕事を作れる人にとって福江島はとても恵まれた環境であると思うからなのです。
素材はいくらでもあるのだから、満足できる宿やお店、商品がなければ自分で作ればいい。
実際に、すごい勢いで様々なひとたちが集まってきてこれからの島をつくりはじめています。
福江島での多くのプロジェクトの要となっているのが、何度かこちらでも紹介している地域デザイナーの有川智子さん。大学院で都市工学を学び、大手住宅メーカーでまちづくりの研究を行っていた彼女が生まれた島に戻って描く島の未来はまさにリアルSim Cityです。
現在34歳の有川さんは2人目の子供が産まれたのを機に、子育てのことを考えて2011年に家族で島に戻ってきたそう。今では島の商品やカタログのデザインに留まらず撮影チームやプレスツアーのコーディネート、市や県の移住促進活動の手伝いなど活動の幅は広がっており、大阪でバリバリ働いていた頃よりも忙しい日々をおくっています。
都心で暮らしていると多くの店やサービスがすでにあるので、既存のものに頼ったり満足したりしがちです。一方、離島は、そういう点ではないものが多いので自然と自分でつくろう、やってみよう、というマインドになる気がします。店を始めるにしても、初期投資や競合面でのリスクが都心に比べると低いので、トライしやすいですよね。
また、有川さんのように島出身の女性がこうしてバリバリ働いているというのも、自分で仕事を始めたい人には大きなメリットです。人との関わりが都会より密接な離島にいくと、バリバリ働きたい女性は浮いてしまうのではないか、という心配が都会在住者からするとあるかもしれません。
確かに、嵐のようにやってきて自分のやり方で島をかき乱すようなことは避けるべきですが、島出身の女性が現在精力的に働いている事実は、移住者の女性も働きやすい環境につながる気がします。
資源はあるけれどアイデア、人材が不足している多くの離島。自分で仕事をつくって生活したい、という人は、そういう場所の方が活躍できるチャンスは多いかもしれませんよ。
ヒーロー気分ではなく、自分たちがやりたいからやる
地元でもない島の魅力を伝える活動を始めて早3年弱。出勤前の朝7時から打ち合わせをしたり、夜中まで企画書を書いたり、自腹で何度も五島に行ったり、ときどき何のために誰のためにやっているのか考えます。
活動を通じて知り合った人々の多くはその土地の出身であったり、長く住んでいたりという地縁があり活動のモチベーションは郷土愛です。そんな中、地縁がないのに勝手に島のPRをしているので正直とても重宝がられますし、ありがたがられることは多いです。
ただ、何でもそうですが、ある程度の熱量で取り組んでいると嫌な思いや大変な思いをすることは多々あります。寝ないで書いた企画書やレポートが無駄になることはよくあること。ツアーでクレームをうけたこともありますし、恋愛相談にのっていた島男子が突然音信不通になったり、島民じゃないという理由で受けられない助成も多かったりもします。
自分たちは島の活性化を手伝っているヒーローのような感覚でいると、島の人たちのために頑張ってるのに、なぜ自分たちがこんな思いをしなければならないんだ、とやってられなくなりますよね。
でも、実際は島や人に魅力を感じて、自分たちがやりたいからやっているだけなんです。だからある程度の苦労は自分たちの力不足もあるし当たり前と思っています。
最近は、私たちのように地縁もなく移住という選択はしないものの、プロジェクト単位などで地域に関わる人が増えている気がします。観光で来てファンになった私たちのような人たちを地域の活動にどう巻き込んでいけるか、それが地元を盛り上げていくひとつの方法かもしれません。
人材不足に困っている地域にとって外部のファンはアイデアの宝庫ですし、ポスト移住者でもあります。ファンは好きな地域と深く関われることに喜びを感じますし、自分の経験やスキルを無償で提供もします。
福江島の場合は、島在住の有川さんがときにプロジェクトリーダー、ときにコーディネーターとして島内外の人や組織をつなぎながら様々な企画を実現すべく奔走しています。
私も、福江島のファンとして、島外にいるからこそできることを今後も楽しみながらやっていきたいと思っています。