海に祈る。ブラジルの熱帯雨林に囲まれた崖の上の礼拝堂「Triangular Platform Chapel」
ブラジルの象徴として「コルコバードのキリスト像」を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。実は、あの高さ39.6mの巨大な像自体が150人収容できる礼拝堂になっているのだ。そんなエピソードからも、ブラジルが敬虔なキリスト教国であるということがうかがい知ることができる。そのブラジルの崖の上に、プライベートな祈りの空間として個人礼拝堂を建ててしまった人がいるという。熱帯雨林と崖をものともせず佇むその礼拝堂からは、実は思いもよらない絶景が臨めるのだ。
これが、その礼拝堂。リオ・デジャネイロからほど近い郊外の私有地にあり、熱帯雨林に囲まれた道から突き出すように建てられている。
まるで崖の下から突き出している十字架に向かって祈るように、ポールに支えられた状態で崖から先に伸びているのだ。
鉄筋でできた十字架と床の枠組みの上に木材の床板が載り、光を取り入れられるブラインド状の壁と天井はガラスで覆われている。
外壁ガラスに周囲の木々が映り、周囲の環境と不思議に調和している。さらに夜間に灯される柔らかな光は、真理の道に導いてくれるようだ。
そしてこれが、肝心の礼拝堂内部の様子。祭壇とベンチが数台あるだけの、シンプルな内装だ。前方の十字架越しに見える海に吸いこまれてしまいそうな錯覚を感じる。これも三角という特殊な形状ゆえなのだが、邪念を置き去り祈りに集中できるのではないだろうか。
少し見えにくいが、礼拝堂はガラスのスライドドアで出入りできる。けれど全面ガラスなので、礼拝堂と外の世界の境界は曖昧だ。木材をブラインドのように設置された壁面からも熱帯雨林の木々のさざめきが見えるので、そのまま自然に包まれている気分になれることだろう。
ここはキリスト教の礼拝堂である同時にブラジルの熱帯雨林や海に対する敬意を感じられる場所だ。信仰する宗教の有無にかかわらず、ここを訪れる人は何かに祈りたい敬虔な気持ちになるのではないだろうか。
Via:
designboom.com