第8回:都会目線での地域おこしはもうやめます|I LOVE 島男子♡

こんにちは、狩野です。「〇〇と鎌倉」という地域と地域をむすぶインター・ローカルメディアを立ち上げてから早3か月がたちました。鎌倉と日本各地のさまざまな地域との交流を促すイベント連動型メディアで、創刊号のパートナーエリアは長崎県五島列島。11月には鎌倉で五島をPRするイベントを、年始には五島で鎌倉企画のスパイス料理イベントを開催しました。

鎌倉の老舗スパイス屋の3代目メタ・バラッツさんが五島に行って島食材でスパイス料理を作りました。島のごはんやさんが1日限定でスパイス料理屋に。他にも料理教室や交流会を開催し100名以上に参加いただきました。
ランチで提供したターリーの写真。幅広い年代の方にお越しいただき、スパイスのイメージが変わったという声。70食完売!

「〇〇と鎌倉」は地域間交流をテーマに掲げていますが、東京から鎌倉に引っ越したからこそ自然と行き着いたテーマだと思っています。東京で暮らしていた頃は、都会の目線で地域の魅力を語ることに意義を感じていたので「都会の女子に向けた島暮らしの提案」という切り口で活動してきました。一方で、ここ数年急激に進んだ地域おこしブームによって都会の感覚が全国各地で取り入れられた結果、どこも無個性になっていくような印象も受けていました。どこにいっても同じようなデザインのお土産や古民家カフェがあったり、個人的に正直お腹いっぱいの状態でした。

東京じゃなくて鎌倉である理由

「海のカーニバル」というイベントの様子。鎌倉在住・出身のクリエイターたちが企画しており、こども向けのコンテンツなども充実していました。この絶妙なセンスは鎌倉だからこそ。

鎌倉に引っ越して驚いたのが、店も人も、とにかく多様性があり個性的なことです。パン屋さんひとつとっても昔ながらの菓子パンを売っている老舗から、自家製酵母を使ったパンでアート作品も作る個性派まで。近所のごはんやさんのランチメニューがタイラーメンと干物定食だったり、地元民が集う店では南米の各国料理が食べられたり、ゲストハウスの1階の蕎麦屋が山形そばのお店だったり。旅好きな人が多いからか国内外問わず様々な文化を入り混ぜて独自のスタイルをつくっている店がとても多い気がします。
東京だと、店の作り方でもファッションにしても、大きなトレンドからはずれないようにしなければという意識が自然と働くような気がします。それに比べて鎌倉は、何でもありだよね、といういい意味のゆるさがあるのです。

地域を超えて交流する機会って意外とない説

11月に「鎌倉で五島を楽しむ2日間」というイベントを開催しました。鎌倉市各所(ライフスタイルショップ、飲食店、美容室等5店舗)で五島とコラボレーションした各種限定企画を楽しめるという企画です。鎌倉では日常的に国内外各地のイベントが開催されていることもあり、地域の人たちからはとても好反応でした。

メイン会場では五島の椿をテーマにした出張販売所をショップインショップ形式で展開。椿油を使ったアロマのワークショップや椿をデザインした和菓子の提供など、椿づくし。

初日の夜は、タブロイド「五島と鎌倉」発行記念のトークイベントと懇親会を、鎌倉市内のライフスタイルショップ兼カフェ「宮路」で行いました。島食材をつかったケータリングを食べながら、鎌倉の人と島の人とが気軽に交流できる会です。

<写真>鎌倉に来られなかった五島の制作メンバーはskypeで参加。島の食堂とつないだので、後ろの方では宴会が開催されていたり、こどもたちがはしゃいでいたり、そんな日常感がおもしろかったです。

会場には五島からも商工会の会長含め数名駆けつけていただいたのですが、五島に興味をもっている人やファンの熱量を肌で感じ、自信につながったという声も。また、普段は他地域の一般の人たちと話をする機会があまりないようで、マーケティングの場としても非常に有効だったというフィードバックをいただきました。


KULUSKAの藤本直紀さんに用意していただいた島食材をつかったケータリング。五島で最近リリースされたワインの試飲会も。

今回交流型イベントにこだわって企画したのは、もとは鎌倉側の強いニーズがあったからです。しかし、実際に終わってみて五島の人たちから好評だったのも交流型イベントでした。地域の顔としてがんばっている人ほど、普段は外に向かって「発信」することに追われているので、案外外の人たちとの「交流」を求めているのかもしれません。自分たちが進めていることの方向性が正しいのか確かめたり、思わぬインスピレーションを得たり、フラットな関係の「交流」はとても貴重な場のようです。

鎌倉だからこそできる地域とのフラットな関係性

今回、一連の企画に協力いただいた鎌倉の人々は五島出身でもゆかりがあるわけでもありません。たまたま五島に興味があったり、行ったことがあったり、他の地域との交流をおもしろがってくれたり、というだけなのです。知らない地域と交わることにモチベーションを感じてくれる、そんな人たちが鎌倉にはたくさんいる気がします。だからこそ、鎌倉と他の地域との交流は自然な広がりがうまれ、実際に人材交流も活発に行われているのだと思います。


鎌倉で人気のパン屋さんmbs46.7では五島の椿酵母を使ったパンを限定販売していただきました。店主が五島に興味があったということで協力いただきました。

実は、東京で活動していたときも都会の女子と島の人たちとの交流に力を入れたツアー企画をしていました。ただ、その場はよくても継続的で発展性のある関係を築くのはとても難しかったのです。思えば、都会で暮らしていると田舎は非日常であって、日常の延長線上ではないんですよね。今回「五島と鎌倉」のコラボレーションをやってみて、地域と地域だからこそフラットな関係が築けるのかもしれないと感じました。
「五島と鎌倉」という2つの地域をつなげてみたら、個人や企業がつながって、鎌倉の人が五島に短期滞在をしてワークショップをしたり、五島をテーマにした商品開発が始まったり、五島で鎌倉スパイスを売ることになったり、いろいろな広がりがうまれています。来月には、年始に五島のイベントで提供した島食材を使ったスパイスランチを鎌倉で食べられるイベントを開催しようと思っています。

「〇〇と鎌倉」では新たなパートナーエリアを絶賛募集しています。興味がある方はお気軽にお問合せください。