ドアを開けたら、すぐ屋台!チェコで人気の開閉自在な屋台
ヨーロッパの都市では、週末などに広場でマーケットが開催されることがよくある。郊外にある農家が新鮮な野菜を持ち込んで所狭しと屋台に並べたりするのを、市民も心待ちにしている。スーパーマーケットで購入するよりも、顔の見える生産者から直接とれたてのフレッシュな食材を購入したがる消費者が多いのだ。
けれど、意外と侮れないのが屋台を出展する生産者サイドの負担。設営の煩雑さだったり、セキュリティの問題が、人手不足の農家を悩ませがちだ。しかし、中欧のチェコ共和国でデザインされた「緑の屋台」は、そんな悩みをあっという間に解決してくれる画期的な構造だった。
こちらが、チェコ共和国の首都プラハに2013年から出現した「緑の屋台」(Green Market Stalls)の市場の様子。一見すると、何の変哲もない屋台のようにも見える。
しかし、高い場所からこのマーケットを見下ろすと、その画期的なデザインが分かる。そう、このマーケットは、三角の屋台を円形に並べて作られているのだ。
その三角の屋台も、元をただせばこういった何の変哲もない四角い箱。けれど、この施錠もできる扉を開けると、すぐに屋台を展開することができるのだ。この扉があることで、屋台の売り子も商品の盗難を気にすることなく席を外すことができる。
しかも、この屋台ボックスはそれぞれが自立しているので、レイアウトも自由自在。スペースや屋台の数に応じて、どんなフォーメーションにも対応できるのだ。
扉の内側は、黒板のようにチョークで文字や絵を書くことができる仕様になっている。店名や本日のおすすめ商品を、お客さまに分かりやすくアピールできる優れものだ。そしてボックス部分と扉の間にはタープ(布)が貼ってあるので、夏の日差しや、秋の小雨を避けることもできる。商品の品質管理もさることながら、屋外での立ち仕事である屋台販売も、このタープがあることでぐっと過ごしやすくなる。
屋台で取り扱うのは、生鮮食品ばかりとは限らない。「Green Market Stalls」なら、こんなドリンクスタンドだってあっという間に出店できる。棚の配列も自由に変えられるので、大型の冷蔵庫だって設置できるのだ。ちなみにこの店頭のテーブルも屋台の設備の一部で、折りたたんでボックスに収納できるという。閉店支度もスマートにできる優れものだ。
プラハのマーケットのために、デザインスタジオ「Edit!」が生み出したこの緑の屋台。もし自分なら、いったい何をここで売るだろう?そんなことを考えるだけでワクワクしてしまう。日本にもこんなポータブルな屋台村が出現してほしいものだ。
Via:
editarchitects.com