Home + Office = Hoffice!フリーランスに新しい働き方を提案するプラットフォームがスゴイ

(C)REDIT AMRIT DANIEL FORSS

ここはストックホルムのとあるアパート。木製のダイニングテーブルに2人が座り、各々のノートパソコンのキーを叩く。その横では男性がリクライニングチェアにもたれかかり、小さなオットマンに足を乗せてノートパソコンに向かう。キッチンでは他の2人がテーブルに座って作業している。居心地のよさそうな空間で、まるでIKEAのカタログに載っていそうな部屋だ。ただ、この人たちはこのアパートの住人ではない。仕事場としてここを使っているだけだ。

このように仲間内の誰かの家に集まって働く、つまり、家をコワーキングスペースとして使うという比較的新しいシステムがスウェーデンにはある。フリーランスとして自宅で働くことはある種の特権ともいえるが、パジャマのままベッドの中でパソコン作業をすることは、オフィスで仕事をするより生産性が落ちる。

そこで、このHoffice(HomeとOfficeを合わせた造語)というプロジェクトでは、アパートや家を一時的なコワーキングスペースにして人を集めることによって、フリーランサーの仕事を効率的にしようというわけだ。

Hofficeには生産性を高めるキーとなるルールが存在する。メンバーは多くても10人前後で、仕事時間は9時から17時の間。そしてスケジュールを1時間刻みとするのだが、その内訳は45分間の作業のあと、15分間の休憩を取って、ゲームをしたり、瞑想をしたりする。これは、人間は一度に40分以上集中できず、短い休憩を挟むことで仕事が捗るという研究結果に基づいているそうだ。

各45分の作業時間が始まる前には、各個人が次の45分間で達成したいことを伝えあう。例えば、書類の作成を完了すること、顧客を見つけることなど。そして45分経つとそれぞれの進捗をメンバーに報告する。このようにちょっとしたプレッシャーを自分に与えることで、作業へのコミットが高まるそうだ。また、自分の仕事を言葉にすることで、無理な目標を立てているとメンバーが現実的になるよう助言してくれるという利点もある。

お昼にはみんなで1時間のランチ休憩を取る。家主が昼食を提供すればメンバーからその金額を受け取るが、ここが唯一、お金が発生する部分であり、その他は無料である。

このHofficeを考案したのは、スウェーデンのChristofer Franzenという心理学者。35歳の彼は、効率のよい働き方を研究している。

2013年の秋、自身の修士論文を書き終えた頃、キッチンテーブルでは思うように作業が進まず、孤独に作業をすることにも飽きて「友だちと一緒に作業をしたらどうだろう?」というアイデアが浮かんだ。そこで、友人で環境保護団体の代表を務めるJohline Lindholmと一緒に何人か集めて、仲間と一緒に家で働くということをスタート。これがうまくいき、コストをかけずにさらに発展させたいと考えた。望むような仕事環境をどのように作るのか?すでにあるものを活用し、効率的に始めるにはどうしたらいいのか?すると、いわゆる「仕事場のない」人たちの家には、プリンターやWifi環境など仕事をするのに必要なものが揃っていることに気が付いた。自分たちの家を「活用されていない資源」だと考えたのだ。

(C) AMRIT DANIEL FORSS

Hofficeを使うのはフリーランスで働いている人が多い。自分の会社を始めたばかりの人、いつか自分のオフィスを持ちたいと考えている人、自分のアパートで仕事をすることに飽きた人など。いくつかのHofficeグループに参加した、ジャーナリストのLagercrantzは、他のコワーキングスペースをオフィスとして借りてはいるが、Hofficeにも加わってみたそうだ。「表現するのが難しいけど、コミュニティとしての感覚がある、というのかしら。コワーキングスペースやカフェでは得がたい、やり遂げる喜びも感じられるわ」。27歳のAndreas WolfはHofficeのキッチンでケーキを焼き個人で売っているそうだ。「驚くほど作業が捗るんだよ」。

Hofficeのようなプラットフォームは、自分たちの家をどう使うかという世界的なトレンドの一部であるといえるだろう。家は、生活や食事や余暇を過ごすためだけに存在するのではなく、もっと大きな可能性を秘めている。Hofficeは使われていないリビングルームやキッチンを他人と共有し、コワーキングスペースとして活用することができるという実例だ。他人とあらゆるモノを共有することは徐々に注目を集めてきており、「公共」や「個人」という言葉が含有する意味への意識を変えつつある。

Hofficeのホームページでは、Hofficeのグループに参加するためのFacebookページへのリンク、個人でも45分+15分のペースを体験できるYouTubeの動画、他都市のHofficeグループのマップ、HofficeのグループのホストになるためのTipsなどが紹介されている。興味があるなら、早速始めてみてはどうだろう。

Via:
hoffice.nu
popupcity.net
fastcompany.com
bloomberg.com

(提供:ハロー! RENOVATION