【タイニーハウスに行ってみた】「3Dプリンターの家」 in アムステルダム

(c) DUS architects/Photograph by Ossip

現在、急成長のテクノロジー「3Dプリント」。新しいものが大好きなオランダでは、3Dプリンターに関連したビジネスが熱い注目を集めています。そんな中でも、アムステルダムの「DUS architects」という企業が2016年夏にクリエイトした「3D Printed Urban Cabin」は、技術力のみならず高いデザイン性でも話題を呼びました。その「DUS architects」が3Dプリンター・キャビンの見学会を行うというので、体験してきました。

3Dプリンターを用いた建築デザイン会社「DUS architects」

(c)Naoko Kurata

その3Dプリンターで作られたタイニーハウスが見られるのは、アムステルダム中心地の北側。アムステルダム中央駅から、渡し船のようなフェリーで対岸に渡ったエリアにあります。

(c)Naoko Kurata

まず最初に、3Dプリンターの基礎知識のレクチャーを受けます。「DUS architects」オフィス内のセミナールームのような場所で、PR担当者が素材などの説明をしてくれました。

(c)Naoko Kurata

数年かけて様々な材料の調合を研究した結果、現在は右の「the bio print material」を約80%、その他の素材約20%という配合で使用しているそう。

(c)Naoko Kurata

そして2016年1月にオランダが(半年ごとの輪番制の)EU理事会議長国を担当した際、理事会の舞台となった建物にDUS architectsの技術が採用されたのだとか。主にファサード(上記画像内のモニターに写っている青い部分)を3Dプリンターで作りあげ、大航海時代の帆船と海を思わせる会場作りに貢献したのです。そして閉会後は、上の図のように全く他のモノに再利用したのだとか。これはエコですね!

(c)Naoko Kurata

ちなみにDUS architectsオフィス内には、プリンターで作られた小物がたくさん。先ほどの、材料が入れられていたボウルも3Dプリンター製です。

大型3Dプリンターの見学

(c)Naoko Kurata

続いて、彼らのアトリエである作業スペースの見学。画面左側に見える巨大な銀色の箱が、DUSの巨大3Dプリンター初号機。箱の上部がオペレーション・ルームになっているのだとか。そして右が後継機である2号機。オペレーションは遠隔操作できるように改良されています。

(c)Naoko Kurata

2号機のデモンストレーションも見せてもらえました。実は筆者は、3Dプリンターを見るのが初めて。しかもその初めてがこんな巨大なサイズで感激です!

(c)Naoko Kurata

稼働はしていませんでしたが、ロボットアームもありました。さまざまな形状に対応できそうですね。

そしていよいよ、満を持して「3D Printed Urban Cabin」の実物見学です!

「3D Printed Urban Cabin」を実体験!

(c)Naoko Kurata

3Dプリンターで作られたタイニーハウス「3D Printed Urban Cabin」は、DUSの敷地内に設置されています。全部で8つのパーツを組み合わせて構成されているのだとか。

(c)Naoko Kurata

ガラスドアで作られた入口は、こちら側。ちなみにキャビン横に置かれた丸みを帯びたモノは、なんと3Dプリンター製のバスタブです!ちょっとした露天風呂ですね。

(c)Naoko Kurata

入口横のステップや床部分には、環境にやさしいエコ・コンクリートが流し込まれています。この見学会の日は嵐のような強風だったのですが、こういった「重石」のおかげでキャビンは微動だにせずしっかりと立っていました。壁部分にコンクリートは入っていないそうです。

(c)Naoko Kurata

こちらは、窓側。しっかりコンクリートで台座が作られているので、窓辺に腰かけても大丈夫。

(c) DUS architects/ Photograph by Sophia van den Hoek

室内の面積は8㎡で、正真正銘のタイニーハウス。実際に人が入ると、これくらいのイメージです。そしてなんと、希望者は実際にここに宿泊することもできるのだとか!
(要問合せ:info@3dprintcanalhouse.com)

(c)Naoko Kurata

そしてDUSは、このタイニーハウスの横の敷地に、カナルハウス(オランダ特有の運河沿いの家)を建てるという構想を持っているのだそう。資金をはじめ、解決しなければいけない問題が多く試行錯誤の段階だそうですが、ぜひ実現させてほしいですね!
※完成イメージはこちらのページからご覧になれます。

毎月第一水曜日の見学会

(c)Naoko Kurata

今回3Dプリンター本体やプロダクトを間近で見ることができて、そのダイナミックさに胸が高鳴りました。どちらかというと木材やレンガなど、昔ながらの建材を使うイメージが強いタイニーハウス・ムーブメントと、このような最新テクノロジーが融合したのが意外な組み合わせでしたね。けれど分解・再利用ができるので環境への負担も少なく、一般的なタイニーハウス愛好者との相性も非常に良いのではないかと感じています。

「3D Printed Urban Cabin」の見学会は毎月第一水曜日に開催されているので(要メール予約)、もし月初にオランダ旅行の予定があればプランに組み込んでみてはいかがでしょうか。そして筆者も、計画中のカナルハウスが完成したら、ぜひまた見学に来たいと思います。

Via:
3dprintcanalhouse.com
houseofdus.com