季節限定で出現。3つのコンテナでできたポップアップ・ホテル
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潜水艦の窓を思わせる丸い窓、あえて残したコンテナの青い塗装、ロープと網で作られたベランダの手すり。マリンというテーマにぴったりのこの建物は、3つの海上コンテナを組み合わせてつくられた全5室のホテルです。
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普通のホテルと大きく違うのはコンテナを使っているという点だけでなく、シーズンオフには解体され姿を消してしまうところ。「ポップアップショップ」は巷でよく耳にするようになりましたが、「ポップアップ・ホテル」という言葉を聞いたことがある人はまだ少ないのではないでしょうか。
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2015年に4カ月足らずで完成したこのホテルが最初に建てられた場所は、チェコ共和国のリトムニェジツェという町に近いエルベ川のほとりにあるサーフキャンプ場。
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このホテルは若手建築家5人からなる建築事務所ARTIKUL architectsが手がけました。ContainHotelと名づけられたこのホテルをデザインする際の条件は、「移動可能」で「解体が容易な」季節限定ホテルを「貨物用コンテナ3つを使ってつくる」ことでした。
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枕木の土台に置かれた長さ約6メートルの小さなコンテナ2つの上に、長さ約12メートルの大きなコンテナが載っているという、積み木やレゴで組み立てた形を思い出させるシンプルな構造です。基礎が枕木だけというのは設置の容易さと、解体後になるべく跡を残さないようにするためでしょうか。
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2階部分の外壁材と夏の暑さ対策のために重要なバルコニーの日よけには、近くの製材所から出た廃材を利用したそうです。
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1階は、トイレ・シャワーが完備され、機械室と物置、2段ベットを2つ置いた4人用ドミトリー。2階には共用のテラスでつながった4つのベットルームがあり、最大13名の宿泊ができます。
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どの部屋も川に面した壁は一面ガラス張りになっているため、部屋の狭さを感じさせません。外の景色も部屋の一部のような感覚を味わうことができます。ベットに寝転びながら、丘の続く風景やエルベ川の美しい眺めが楽しめるとは贅沢ですね。夕暮れ時のテラスでは旅人同士の会話も弾みそうです。
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壁と天井、カスタムメイドで作られた家具のすべてにカバノキの合板が、床には部屋ごとに違う色のリノリウム(亜麻仁油をはじめとした天然素材から製造された床材)が使われています。鉄鋼という素材から冷たい印象を与えるコンテナですが、内装には明るい色味の木がふんだんに使われているので自然で温かみのある雰囲気を感じられます。
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インダストリアルな照明、2段ベットの手すり、階段のフレームなど、内外に使われている黒色が良いアクセントとして効いていて、ナチュラルなイメージをひきしめています。
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デザインする際、冒頭であげた3つの条件に加えて、「環境に配慮した」、「電気・水道等の面でできるかぎり自己完結できる(現地のインフラに頼らない)」建物であることも求められていました。
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電気だけは現地の送電系統と繋がっていますが、シャワーとシンク用に必要な水をまかなう貯水タンクを設置し、トイレには「し尿分離エコトイレ」を採用しました。アメニティには分解され自然に還るものを採用し、蛇口には節水機能をあるものを使うなど、細部まで徹底されています。上下水道などのインフラを外部に頼らないことは環境に優しいだけでなく、組み立て・解体の際の工事費用・時間をおさえられる点でもメリットが大きいのです。
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ノマド主義、海岸ビーチの雰囲気、テーマはマリンというホテルの基本理念が至るところに反映されているコンテナホテル。次に出現するのはどこでしょうか。旅行先を決めてから宿泊先を探すのではなく、このホテルが次に建てられる場所へ旅する、という旅の仕方も面白そうですね。