第11回:退職して、走っていたらシゴトを発見|元新聞記者の、非日常生活。
前回記事から「空白の半年」の間に、近所の山小屋を買うことに決めたり、ハワイのランニングレースで3位になったり、地域おこし協力隊としての仕事の任期が最終年度を迎えたりしていました。若岡です。改めましてよろしくお願いします。
「地域おこし協力隊ってなんぞや?」という問いにざっくりお答えしますと、田舎に住んで仕事をする国の制度です。任期は最長で3年、仕事の中身は住んでいる地域によって多種多様。上毛町では、移住希望者の窓口となる施設「ミラノシカ」の運営や情報発信、イベントの企画運営などが主な仕事です。
実は忙しい田舎暮らし
仕事ではないのですが、施設周辺の草むしりや集落の道路清掃、祭りの準備など1年を通して慌ただしく動いています。真夏の草むしりは、着替えが必須。替えのシャツを持っていないと、半乾きの雑巾のような体臭に耐えながら、その日を過ごさなくてはなりません。
「田舎暮らしでのんびり」というのは、真夏の暑さがみせる蜃気楼のようなものか、夢か幻ともいえます。田舎はけっこう忙しくて、肉体系です。
そんな日常に追われつつ、僕の任期は来年3月。そろそろ仕事を探さなければと思っていた矢先、拾う神あり。それも神様は1人どころではありません。神々が多数おみえになりまして、多方で拾っていただけることになりました。ありがたや。
Web、紙媒体の執筆に加えて、遠隔でできるニュースサイトのディレクションなどなど。定期的な仕事のほかに、大家さんと一緒に墓前で花を生けるための竹筒をつくったり、同僚とフリーペーパーならぬフリーポスターを制作したりと、お金になるものも、ならない仕事も豊富です。
ちなみに、大家さんと一緒につくった竹筒は10セット売れました。いろんな稼ぎ方があるものだなあと楽しんでいます。
きっかけはひょんなところから
振り返ってみると、仕事はいつもひょんなところから入ってきます。僕の場合、ランニングが鍵になることが多いようです。上毛町で働き出したのは、ブラジル・アマゾン川の支流を走る「ジャングルマラソン」に出場したのがきっかけ。完走して帰国してから、YADOKARIに連載している三谷晶子さんにレースの話をしていたところ、上毛町を紹介していただき、ふらりと居着いて今に至ります。このコラムも三谷さんの紹介です。
最近始めたニュースディレクションの仕事も、毎夏参加している大会「白山ジオトレイル」で知り合った友人から声をかけてもらったものです。国内外で活躍するトレイルランナーの方と知り合った経験から、レースレポートをまとめることにもなりました。
走ってかいた汗の量に比例して、仕事がどんどん増えているという不思議な状況です。「シゴトのタネ」はいろんなところに転がっているのだなあと実感しています。
新聞記者として会社勤めをしていたころには、思いも寄らなかった働き方です。組織を離れて自分にできる仕事があるとは思えず、退職を思いとどまった時期もあります。踏ん切りがつかずに、会社という大きくて安全そうな箱の中から飛び出すまでに、20代のすべてを費やしました。外は怖い世界だと思い込んでいたのです。
ですが、ポンと勢いよく駆け出してみると、なんとかなるもの。一生懸命走っていれば、見ていてくれる人がいます。そんな人がいなくとも、糧にはなります。そう考えると、上毛町を拠点に今後もなんとかやっていけそうな気もしています。
今回はそんな近況報告でした。次回は山小屋の話です。
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シゴトについて、もうひとつご紹介を。
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