旅する映画製作スタジオ。商用バンを北欧スタイルの自宅兼事務所に改装

via: https://www.designboom.com

一見何の変哲もない普通の業務用バンにみえるこの車、後部のドアを開けてみると、この通り。実はこのバン、若手映画製作者Zach Bothさんが、自身で改造した移動可能な自宅兼映画製作事務所なのです。

via: https://www.designboom.com

もともと3Dプリントのスタートアップで、アートディレクターをしていたザックさん。現在は会社を辞め、この自作のキャンパーバンで旅をしながら、夢であった映画製作者の仕事をして暮らしています。

via: https://www.designboom.com

2014年の夏、ネットのクラシファイド広告で見つけた中古の業務用バンを4000ドルで購入、仕事の合間をぬい、10カ月かけて宿泊可能なキャンパーバンへ変身させました。もともと大工仕事などの経験は無かったザックさんですが、ご両親の助けを少し借りただけで、デザインから実際の改造まで、ほぼ一人でやり遂げたそうです。

via: http://www.slate.com

車の幅に合うようにカスタマイズしたベッドは、日中はソファーとしても使えるよう考えてあり、土台部分は収納も兼ねています。自作の椅子のクッション部分を開けると、中にはゴミ箱が隠れています。これは場所の有効利用という面だけでなく、車内にゴミの臭いが充満しない点でも良いアイデアですね。

via: http://www.slate.com

仕事場である机の天板を開けると、アルコールバーナー2つのコンロとウォータータンク、冷蔵庫を備えたミニキッチンに早変わり。バンの内装は、ミニマルな北欧デザインに、少しインダストリアルなテイストを足したイメージのデザイン。

天井と家具のドア部分に木材を使うことで、車体の無機質な金属部分に暖かさが加わり、車内というより部屋にいるような居心地の良さが感じられます。ちなみにこの木材は19世紀に建てられた教会から出た古材だそうです。

via: https://www.designboom.com

カスタムメイドの家具はコストがかかるが、その分デザインだけでなく、自分のニーズに合ったものを作れるのがメリット。狭い車内を最大限に利用して、居心地の良い空間にするため、すべての家具が車体や器具にぴったり合うように、またいくつかの機能を兼ねるよう考え抜いてあります。シンプルかつ機能的なデザインの家具は、タイニーハウスの内装としても使えそうなアイデアで溢れています。

via: http://www.slate.com

トイレとシャワーは無いものの、車載している冷蔵庫、モバイルWiFi、ホームシアターは、車の屋根に取り付けたソーラーパネルで発電した電気で賄えるようになっています。

via: https://www.designboom.com

購入時は、このような状態であった中古のバンが、機能的で、デザイン性も高いキャンパーバンに生まれ変わるまでの過程が、彼の管理するウェブサイト「the vanual」に細かく記録されています。バンとマニュアルを合わせた造語である名前の通り、改造の過程を綴ったブログというよりは、マニュアルと言えるほどの情報量があるこのサイト。リノベーションの過程は9段階に分けて、改装マニュアルとしてまとめてあり、ステップごとに、難易度と使用した道具や材料、所要時間も含めて事細かに記されています。

また、車中泊で旅しながら生活するライフスタイルを、マニュアルとしてまとめられており、バンでの生活の長所・短所から、防犯面や衛生面で知っておくと良いこと、最低限必要な設備まで、経験者でしか分からない有益な情報・助言が沢山。全文英語ですが、写真も豊富なこのサイト、「自作キャンピングカー」や「旅をしながら暮らすこと」に興味がある方には特に参考になりそうです。

via: https://www.designboom.com

このような景色を見ながら、寝起きだけでなく仕事もできるとは羨ましい限り。改造に15000ドルと、デザインにこだわったため、予定以上の費用がかかってしまったそうですが、このバンを通して若手映画製作者が得たモノは、移動手段、家、仕事場以上のものでしょう。

via:
http://www.slate.com
https://www.designboom.com
http://thevanual.com/