家具を持って出かけよう。「移動こそ最高のくつろぎ」という新しいライフスタイル
ラップトップを入れたバックパックの代わりに、今日は家具をしょって出かけよう。
デスクワークに疲れて、ちょっと気分転換に近所の公園に出かけます。涼しい木陰のベンチは、先客たちに占領されています。そこで、誰もいない静かな木陰を見つけて、背中にしょったイスをおろしてセットアップ、静かに読書を楽しむ。日差しが眩しくなってきたら、イスといっしょにスルスルと日陰に移動する。
こんなシーンに役立つ、「移動こそ最高のくつろぎ」という家具を提案する、スペインのデザイナーJorge Penadésのノマディック・コレクションを紹介しましょう。
「ラグジュアリーは、くつろぎのために必要じゃない。今の時代には、現代社会の猛烈な忙しさから逃れて、安らぐひとときを過ごせる場所こそ必要なんだ。」とPenadésは語ります。
こうして考えられた“移動する家具”ノマディック・コレクションは、道具を使わず手作業だけで、ものの数分で組み立て・分解が可能です。
こちらのノマディック・チェアーは、レザーとヒモで収納してバックパックのように背中にしょって運べます。
伝統的な木造ジョイントからヒントを得たシステムは、木製パーツを差し込み、メタルの留め金を上からはめれば、ハイ完成。工具も力もいらず簡単です。
ノマディック・ベンチは、背もたれを交互に配置替えできます。カップルで喧嘩した時にいいかもしれません。仲直りしたら、また二人並んで座ればいいし。
組み立てが大変で工具も必要、設置したら2度とバラすのが嫌になる北欧の某メーカーのものとは対照的です。
Jorge Penadésは、現代社会への問題意識を、コンセプチュアルにデザインする作家として知られています。
「現代は移ろいの時代。わたしたちの財産、住んでいる家、そして街さえも永久じゃない。」
Penadésの語る言葉は、震災を経験したわたしたち日本人にとって、深く共感できるメッセージです。
「しょせんこの世は仮住まい」。危なくなったら逃げればいい。身軽にさっさと移動できるように、ミニマルなライフスタイルについて考えてみましょうか。