次世代への橋渡し。フリー(Free)&フリー(Flea)にリノベーションを。

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ウィスコンシン州の歴史あるキャンプ場、キャンプ・ワンダウェガ(Camp Wandawega)が荒廃して森に帰っていく様子を見かねたシカゴ在住のとある夫婦は、このキャンプ場を購入し幼少時代に経験したサマー・キャンプを再現するというビジョンのもと建て直し作業を開始した。

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デイビッドさんと妻のテレサさんが25エーカー(3万坪程度)のキャンプ場を購入し、リノベーションを始めたのは2004年のことだ。次第に友人を招待できるようになり、その後実際のお客さんを得ることができるようになった。ただしデイビッドさん・テレサさん夫妻が「リゾート」と呼ぶこのキャンプ場がどういった場所なのか、これから宿泊を考えている人はよく理解しておく必要があるだろう。

まず言っておくがエアコンは無い。それから枕元にはよくテントウムシがうろついている。その代わり早朝のカヌーといったシンプルな楽しみや、ものが無い生活を楽しむことができる人にとってキャンプ・ワンダウェガはきっと最高の場所だ。

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遺産を守る

キャンプ場として86年の歴史を持つその施設は、それ以前にも多様な時代の変遷を経験している。たとえばメインの建物の床にある隠し扉は禁酒法時代のスピークイージーの名残であり、長い廊下に並ぶ小さな部屋には娼家として使われていた時代の面影が残っている。また大きな樹の下にある祭壇からは、キャンプ場になる前そこがラトヴィア系の教会であったことがうかがえる。ロッジのエントランスには現在もラトヴィアの言語表記でワンダウェガと記されている。(“W”が“V”で表記されているのがお分かりいただけるだろうか)

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多くのラトヴィア系の家族にとってキャンプ・ワンダウェガは、子供に豊かな夏の経験をさせるための場所であり、1970年代デイビッドさんもその内の一人としてキャンプ・ワンダウェガを訪れていた。しかしながら1990年代にはキャンプ場はひどく荒廃してしまっており、デイビッドさんの頭にはその遺産を守るという考えが浮かんだ。そうしてデイビッドさんは当時婚約者であったテレサさんを連れて、キャンプ・ワンダウェガを見に行ってみることにした。

テレサさん曰く当時は天井も落ちてしまっていたし、中はタヌキだらけだったという。それでもかつての写真を見たり、デイビッドさんの家族がワンダウェガを4世代に渡って訪れたという話を聞いたりして、彼女は契約書にサインした。「私たちがやらなければならないことだと思いました。だから私は彼と共にサインしたまでです」テレサさんはそう言っている。

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デイビッドさんとテレサさんは友人や家族のほぼ全員の力を借り、9年間に渡る作業の末キャンプ・ワンダウェガをノスタルジックな場所へと生まれ変わらせた。それは映画のセットのようであり、ポップ・カルチャーの博物館のようであり、さらには考古学的な遺跡のようでもある。テレサさんは施設内のそれぞれの場所を、1920年代から1960年代のどこかの時代を切り抜いたかのような空間に仕上げた。

「まず前提としてお店でものを買うことはしたくありませんでした。全て無料(free)か又はフリーマーケット(flea)で見つけたものです」テレサさんは言う。

装飾品の4分の1はキャンプ場にもともとあったものを利用し、その他はフリーマーケットや中古品のセールスで揃えたもので、各部屋とも200ドル(2万円程度)の予算で作り上げられているというから驚きだ。たとえばキャンプ場で見つけた掘り出し物の食器に合わせて、黄色い椅子を取り入れるなど、それぞれの部屋はテレサさんのアイデアで見事に生まれ変わった。

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デイビッドさんは言う。「施設のオーナーと言うよりは、次の世代へ橋渡しをする世話役といったところです」デイビッドさんとテレサさんは今後も荒廃した場所を探しては、このウォークイン・スタイルの「タイムカプセル」へと新たに生まれ変わらせていくのだという。

以下の動画では、テレサさんがキャンプ場内でお気に入りのツリーハウスを紹介してくれている(英語音声のみ)興味があれば観てみてはいかがだろうか。


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