ウェールズの大自然にひっそりと佇むリゾートキャビン「Arthur’s Cave」
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イギリスの女王や王家が住む伝統と格式のあるウェールズ、Castell y Bere(カステリーベアー)という自然豊かな場所に小さなリゾートが密かに、そして控えめに建てられている。
Paul MillerとMichael Kendrickという2人で、ロンドンを本拠に運営されているMKAという建築会社によってこのリゾートは建てられた。Paul Millerはランドスケープデザイナーとしてのキャリアがあり、Miller Kendrickは持続可能性な家づくりをテーマに建築家をしていた。この建築家たちによって2017年5月につくられたリゾートホテルで、建設期間はたったの1ヶ月。昔ながらの伝統的なウェールズのデザインを参考につくられた。
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12スクエアメートルほどの小さなキャビンだが、リビングルームが前面に寝室が後方に、それに挟まれた形で洗面所があり、必要最低限のミニマルな作りがされているが、それぞれに窮屈さは感じられない。
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全体を黒で着色、その結果ゴージャスな印象を受ける。玄関、入り口はゴージャスさを残しつつポップなホテル風。
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外装の壁はウェールズ産のカラマツで貼られている。Esgair Forestという地元の森から採取したものだ。
そして何しろイギリスの冬は想像するよりもずっと寒い。日常生活を考えるなら、それに順応する知恵が必要となる。
そこで断熱材はウェールズ流に羊の毛を利用、もちろんその大半は地元(Ty-Mwar)で採れたものだ。
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室内は小さな薪暖炉で温める。このような昔ながらの方法で、厳しい冬を快適に過ごすことができる。
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洗面所、浴槽までベニア板でできている。「ベニア板」と書くと安っぽそうなイメージがあるが、ウェールズのデザイナーにかかれば、備え付けられるもの一つ一つがスタイリッシュに、そしてシックな仕上がりになる。
ウェールズといえどもここは人里離れた大自然の中、インフラの整備が整っているわけではない。ソーラーパネルを使いLEDを光らせ、温水も使用可能、トイレはコンポジット式となっている。
見た目はシックでも、建築手法や技術はモダンで最先端のものが使われている。一度室内に入ればどういうことか一目でわかるだろう。
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この建造物は木材の板を何枚も使い、まるで「肋骨」のように建物をささえていることが確認できる。この複雑な構造の連結の方法として、パズル上に切った木を組み合わせる手法をとっている。
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パズル自体の組み合わせはもろいが、この肋骨状の組み合わせにより構造上の強度を出している。この木材はCNCルーターに使われていたカバ材を使用しているが、その上に合板を重ねて構造を強固にしている。それにより、写真のように視覚的に非常に面白い効果を生み出している。
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また夜にライトアップすることでさらに面白く、興味深いシルエットが現れる。
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イギリスはとにかく曇りの日が多いため「晴れの日」や「日光」というのが貴重でとてもありがたいものになる。大きな窓を取り付けたことにより、室内に貴重な日の光を多く取り込むことができる。
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大きな窓に面しているのはウェールズの山々、遊牧されている羊たちなど美しい大自然、最高の景色と新鮮で透き通った空気が楽しめる。これ以上の贅沢はないだろう。
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リゾートxスモールハウスというのは最近よく見られるようになってきたコンセプトだ。スモールハウスというミニマルでハイセンスな空間が作り出す非日常は、リゾートという概念に見事にマッチする。さらに「好きな場所における」という場所性もこれに適合する。
この場所に大がかりなホテルが建ってしまえば確実にバランスが崩れてしまうが、スモールハウスならば、その雰囲気を壊さずに自然と共存することができる。
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