八丈島〜海中の自然と住まいの話
今回は、八丈島の海の中の自然と、海を取り巻く暮らしについてです。前回に引き続き、読んでいただけると嬉しいです。
海を取り巻く暮らし
八丈島での楽しみは、自然を堪能することはもちろんですが、もう一つ外せないものがある。
温泉!
離島で温泉に入れる所は、殆ど無いと言ってもいいくらい。伊豆本島には沢山の温泉があるけれど、海を隔てて離島へ行くとシャワーのみになってしまう。離島にも温泉があったら、冬でも観光客は訪れるかも知れません。でもあまり観光化されていない所が離島の魅力でもあるのですが。八丈島には無料で入れる温泉やワンコイン日帰り温泉など、割と沢山あります。私が訪れた時も、毎日違う温泉へ行けるほどでした。そのいくつかをご紹介しましょう。
まずは無料温泉。写真を見てもらうとわかりますが、とても無料には見えませんよね。どこかの温泉旅館のパンフレットにあってもおかしくない写真です。ここは、水着で入れる混浴温泉で、海で遊んだ後に水着のままで温まれる温泉。近くには滝があるマイナスイオンに包まれたロケーションでした。
こちらは高台にある見晴らしが良い事で有名な温泉です。名前の通りですね。開館時間よりも前に到着したので、特別に営業時間前に、写真撮影の許可をいただきました。文句なしの見晴らし。こんな所に住みたいな〜って思うくらいに海が綺麗に見渡せる温泉でした。この見晴らしで500円は安いと思いませんか?従業員の方に聞いた話ですが、毎日500円を持って通う地元の方が、数多くいるそうです。毎日温泉に入れるなんて、羨ましい限りです。
最後は足湯。朝早かったせいか、貸し切り状態でした。でもその分お湯の温度が激熱で、両足をい入れるまでにかなりの時間と気合を要しましたが。笑 ここも見晴らしが最高でした。皆で並んで海を見下ろせるのが良かったです。すぐ隣は民家だったりして住宅街の中にあるのが、ちょっと驚きましたけど。でも家の側にこんな所があったら、毎日通ってしまいますね。足湯しながら、波の音を聞きながら、潮の匂いに包まれて読書とかしたいです。癒されるでしょうね〜。最高に贅沢な時間です。私達が帰る頃には、たくさんの方々が集まってきていました。写真でもわかりますが、八丈の海は透明度が高いので、見下ろすだけで海中の岩が綺麗に見える程でした。海も温泉も生活に密着していて、島民にとっては当たり前の日常なのかな、と思うと羨ましいですね。
そこだけ東京都
沖縄と似た雰囲気を持つ八丈島で唯一、東京都なんだな〜と感じずにいられなかった光景がありました。それは、道路。写真は無いのですが、完璧に舗装され、整備された綺麗で新品な道路。大自然に囲まれた島で、その整備された道路だけが浮き上がっているような、別世界への入り口のような違和感を覚えるほど。そして夜になると、無駄なんじゃないかと思うくらいの外灯が、かなりの近間隔に立ち、眩しいほどでした。離島って、水や電気は供給制だから大事に使うのでは?という意識があったので驚きましたが、後で調べたら八丈島の電力は、内燃力発電と地熱発電と風力発電でまかなっているそうです。日本でも唯一、自然エネルギーをベース電源としているのを知って、とても感動しました。
話がそれましたが、八丈島へ行ったら是非見て下さい。キレイな道路。ただならぬ違和感を覚えますよ。
八丈島の海の中
ダイバーになって3年ほどなので、まだまだ知らない海がたくさんあるのですが、八丈島の海はかなり感動しました。「八丈ブルー」と呼ばれるほど青く、透明度の高い海なので、太陽の光が水深20mでも届き、明るい海中です。今回八丈の海で見たかったものは、小笠原と八丈島でしか見る事の出来ない「ユウゼン」というお魚とウミガメでした。(ユウゼンはすみだ水族館でも見られます)結果は、写真と動画にあるように、目標達成!ユウゼンは思っていたよりも模様の綺麗な、小さいけど存在感のある魚でした。結構な数で群れていて、見惚れてしまったほど。
ウミガメさんは、暖かい所が好きなので、海の中でも比較的深度の浅い海温の高い場所に居るのが普通です。なので暖かい海じゃないと、いつも下から見上げてシルエットだけ確認することになってしまうのですが、今回は夢の並泳が出来て感激でした。間近でしっかりお顔も確認!目も合った様な。笑
画像が少々ブレておりますが、お許し下さい。
そんな楽しい事もありつつ、他にもいろんなものを見て来ました。海の中には陸とは違った、別世界があります。海の中でしか見られない綺麗な景色や魚はもちろんですが、一番は浮遊感。上下左右の仕切りがない広い世界の真ん中に1人浮かんでいるあの瞬間、例えられないほどのリラックス効果があるように思います。ダイバーになる人が皆、海に魅せられるのは、あの瞬間なのかも知れない。
自然と共存生活するということ
YADOKARIでも、海上に佇む家などを紹介している時がありますが、災害が起こらない前提であれば、海の上に住む事は我々にとって一種の夢だったりする。今でも南の島へ行けば、海の上に点在するホテルがあるし、最近ではドバイに移動式の海中ホテルが建設予定だったりと、世界ではもうすでに、海に住む事は現実になっています。でも、地震国日本では、津波に呑まれない家を実現化することは、難しいだろうと思いませんか?この間の東日本大震災の時、震度5〜6に耐えられた高層ビルや都心の建物に感心して、日本って凄いと思いましたけど、想定外の自然災害はきっと避けられないでしょう。あの時の津波のように。
常に人間の常識思考を超えて来るのが自然の力だと思うので、そこに逆らうことは、自然と共存生活する資格が無いのかもしれない。自然の巨大な力に呑まれてしまう日がくるとわかっていても、敢えて共存しようとする者だけに、自然は素晴らしい時間と空間を見せてくれるのかもしれない。
どんなにベテランのダイバーさんでも、毎日海に潜るイントラさんでも、その日最初の海に入る瞬間は、いつも緊張感が走るといいます。何年経っても。海中という非日常の世界を見る為には、その一瞬、覚悟をして海へ入り、別世界へお邪魔させていただいてるという意識が、ダイバーにはあると思う。
ならば陸上でも、同じ事が言えるのではないでしょうか。山へ登る最初の一歩、森林の中へ足を踏み入れる時、川の中に手を入れる時、綺麗な花や大きな木に触れる時、土を掘り返して育てた野菜を取り上げる時、その一瞬、自然と触れ合う時には、非日常へお邪魔させていただくという気持ちを持つだけで、見える景色や考え方は大きく変わるかも知れない。
また自然と共存生活するということは、一方で、自然破壊への一歩でもある。そう思いませんか?陸上に家を建てるためには、雑草を摘み取って土を掘り起こす。そして、どこかで切り落としてきた樹木を使って家を建てる。海上や海中でも、人工的なものを入れれば、海の中の食物連鎖や環境を破壊することになる。我々が自然から受け取る恩恵は計り知れないけれど、その後何か返せるかと言えば、何も生まないのが現状。自然破壊無くして、我々の生活は成り立たず、なのだろうか。せめて未来の暮らしは、自然へ恩返し出来るような住まいの仕組みを考えたいものだ。
人の心が常識を捕らえて、秩序ある生活を送れるのは、自然界に囲まれているからこそ。自然の恩恵が受けられないばかりか、自然界そのものが無くなってしまったら。。想像するだけでも怖いこと。まず衣食住が不可能となり、更に人としての心が荒み、人を人と思わなくなり、動物本来の本能だけが残り、映画でしか見る事のない事態が次々に起こるだろう。
我々の一人一人が、そんな危機感を常に持ち、自然へ感謝の気持ちを持てたら、いつもの暮らしが大きく変わっていくだろう。未来の自然共存生活も夢ではない。暮らしがそのまま自然への恩返しになるような、住む事で自然を作っていけるような、破壊したら修繕していけるような、そんなポイントを探るためにも、毎日を丁寧に、気持ちを満たしながら暮らしていきたい。
☆次回は雪国の自然と住まいです。