くず鉄バスが大変身。イスラエルのママ友がつくったファッショナブルなタイニーハウス
イスラエルのキャリアウーマン、タリ・シャウルとハギット・モラフスキーはママ友。2人は、夕方のウォーキングのかたわら、共同ビジネスのためのクリエイティブなベンチャープロジェクトについて語り合いました。シャウルは、コンテナやテントなどを使った代替住宅に関する女性雑誌の記事を読んで、古いバスを居住空間に変えることをハギットに提案します。背景には、住宅費の高騰がイスラエルで深刻な社会問題になっていたことがありました。
2人は、くず鉄置き場にあった路線バスを見つけて購入。しかしデザイン経験のまったくない彼女たちは、ボロボロのバスを前に何のアイデアも浮かばず、助っ人として友人のデザイナーに協力を要請します。そして、幅2.5m・長さ12mの空間を、単なるコンテナハウスにするのではなく、バスのオリジナルの面影を残すリノベーションを基本方針と決定しました。ハンドルや窓、昇降口、車輪のための段差などをを活かしつつ、違和感のないインテリアへと変身させるデザインです。
バスの内部には、モダンリビングに必要な、バスルーム、ベッドルーム、キッチン、床下収納、クローゼット、太陽熱温水器、エアコンを完備。インテリアは、交通機関を連想させるインダストリアルなテイストにして、リサイクル素材や施工の容易な材料を活用しました。人件費と材料費を切り詰めるママの知恵ですね。
床はフレキシブルな工業用シートで覆い、壁面は耐水性コンクリートプレートを使ってバスルームの仕切りにも適用。アルミフレームは古い通気口からリストアしたもの。窓枠上のグレーの花模様の壁紙の下に埋め込まれたLED照明を含めて、全体的にバスの雰囲気を活かしたデザインになっています。
キッチンには、ダークオークのカウンタートップにステンレススチール製のストーブとシンク。オレンジのビニール製シートと黒のプレートテーブルのアメリカン・ダイナー風のダイニングが、盛り上がった車輪の段差をうまくカバーしています。
ドアにオードリー・ヘップバーンが描かれたワードローブ、シューズクローゼットといった女性にやさしい設備もあります。
バックドアの反対側にあるバスルームは、マグネットボードで覆われ、後輪の段差の上にトイレが備え付けられています。
微妙に高くなっていた後部座席は、木工によりステージ状に改装。黒いベルベットで覆われたシートは、ソファーベッドを広げると2m×1.8mの広いダブルベッドに変身します。
このバスのタイニーハウスは、現在はテルアビブ近郊の街Savyonに設置され、ブティック・ゲストハウスとしてAirbnbで貸し出されています。
シャウルとハギットは、ファッション雑誌をめくりながらデザインのインスピレーションを得たそうです。それにしても、デザインもDIYも素人のママ友2人が、くず鉄同然のバスを華麗に蘇らせた根性と大胆さには驚きです。