使えるものは何度でも、大切に使う。再利用の家「Tiny House」
新築で大きい家ばかりが素敵とは限らない。今回紹介するのは、古くて小さいけれど、家族をあたたかく包み込む再利用の家です。
オレゴン州ポートランドの北、コロンビア川に浮かぶソービ島(Sauvie Island)に建つ「Tiny House(小さな家)」は、もとは1940年代初頭に、湾港の労働者のために建てられた仮設住宅でした。はじめは川上に建てられていましたが、1948年に起きた洪水によって川下に流され、さらにその数年後には賃貸住宅として建てなおされ……いくつもの歴史を経て、現在の姿となっています。
最後の再利用を手掛けたのはJessica Helgerson Interior Design。Helgerson一家は、たった540平方フィート(約50㎡)のこの小さな家に住んでいます。
ぼろぼろだった屋根には、コロンビア川から採取した苔やシダが植えられました。キッチンの壁には、残されていた廃材が使われています。バスタブも解体現場から拾ってきたもの。この家のありとあらゆるものが、周囲の環境から集められ、再び命を吹き込まれたものです。
540平方フィートの小さなスペースには、信じられないくらいたくさんのものが収まっています。キッチンがメインの「great room」は、ダイニングとリビングになっており、対面の壁はまるで図書館のように本棚で埋め尽くされています。ダブルソファは来客用のツインベッドに早変わり。ソファの下には子どもたちのおもちゃが収納され、そのわきの壁には猫たちのための出入口もあります。
子ども部屋には二段ベッドと来客用のベッド、そして屋根裏が夫婦の寝室となっています。家と同じ長さを持つポーチは、ブランコが下げられた庭の木を包み込むようにしてつくられています。
身の回りにあるものを、手をかけて何度でも大切に使う。そんな暮らしを実践するHelgerson一家は、食べ物もこの土地で、自分たちの手で生産しています。新しいものばかり大量に消費するのではなく、今あるものを心をこめて使う。これからの時代の生き方の一例が、この小さな家に詰まっています。
via: lincolnbarbour.com, jhinteriordesign.com, thecoolist.com