1分20秒で出現。全天候対応シェルター”SHIFTPODS”
未来的な見た目のこのシェルターは「この惑星で史上最高の移動型シェルター」との呼び声も高い。
この「SHIFTPOD」と呼ばれる次世代型のシェルターは、デザイナーのクリスティン・ウェバーがカルフォルニアに本拠を置くAdvanced Shelter Systems Inc(通称:ASSI)から投資を受けこのシェルターをデザインした。
彼が2015年に設計したこのシェルターは、アメリカのネバタ州に広がるブラック・ロック・デザートという場所で開かれる、アートフェスティバルであるバーニング・マン・フェスティバルの時に初披露された。
わずか1分20秒で立てられるシェルターはどの様な天候にも対応可能だ。たとえ大雨が降っていても、完全防水のため内部には全く影響はない。また通気性も抜群で、独自の通気システムを採用しており、どんな状況でも息苦しさを感じさせない。
強風にも細かい砂埃にも耐性があり、かつ表面は太陽の熱を反射する素材でできており、日差しが強いエリアでも中は快適に過ごすことができる。
しっかりとした断熱材を使用しているため、この様な雪の降る寒い場所でも快適だ。
灼熱の砂漠の真ん中や、この様にゴツゴツと岩が転がっていて足場が悪く、通常の建築がとても不可能な場所にも設置可能となるのだ。
さらに折りたたんで持ち運ぶことも可能で、その大きさは成人男性の身長ほどの長さで、一人で肩に担いで歩けるほどの軽さだ。
立てるのも、普通のタープ型のテントの様な道具や労力なしで、中に入りながら本当に「ポンッ」といった感じであっという間に誕生し、それも1分20秒ほどで設置可能という手軽さだ。
現在はその進化版である「SHIFTPODS2.0」が制作されており、いくつか耐震強度が強化されただけでなく、天井に5.08cmほど余分にスペースが設けられ、さらにシェルター同士を連結することができる、トンネルコネクターという機能まで追加された。これにより上の写真の様にテント同士を連結させることができるようになり、倍以上のスペースが確保できる。
フェスのキャンプ場のテントとしても、難民救済用のテントとしても、より柔軟に、使用目的に合わせて利用できるシェルターとなった。この様な大きなダブルベットを設置することもできる。
またこのSHIFTOPODSの販売システムも素晴らしく、20ユニットが売れるごとにこのシェルターを必要としている家庭に一つこのシェルターがプレゼントされるという仕組みをとっている。そのため通常の購入サイトとは別に、災害難民用の別アカウントサイトも用意している。
この様なシェルターは難民として生活に苦しんでいる人々にとって、非常に現実的な希望となることは間違いない。それ以外にも、このシェルターの用途は本当にアイデア次第と言える。
この様なシェルターは旅人に取ってもありがたい。
筆者自身も世界中を渡り歩きながら生活をする、日本語にすると遊牧民の意味である「ノマド」という人種の一人であるが、この様なモバイルハウスとしてのシェルターは、これからのノマドライフにも大きな変革をもたらすかもしれない。
通常モバイルハウスは車と一体型の家を指すが、この様な持ち運び可能な家もモバイルハウスの一種といえる。自分で好きな場所を選択しながらミニマリズムを体現する暮らしができるのだ。
従来型のシェルターにとって変わって、この写真の様な未来的な光景が世の中に広がるのも時間の問題かもしれない。