
最近、Casa BRUTUSの記事「レコードディガーとしての村上春樹」を読んで、村上春樹氏のレコード掘りの情熱に圧倒されたんだけど、高いレア盤じゃなくて200〜300円のものが中心で、ダンスの絵柄をジャケ買いしていることに好感を持ちました。ということで今回は、レコードジャケットやポスターにもなりそうな、ギリシャの教授の奇想天外な建築プロジェクトの数々を、ビジュアル中心に掲載します。気に入ったら、キャプションのFlickrのリンクから画像をダウンロードして、個人利用の範囲でポストカードやポスターにするのもいいかもしれません。

ギリシャのテッサリア大学建築学科の教授Aristide Antonas氏は、「リアルフェイク」シリーズや「安定した乗り物」シリーズといったコンセプチュアルな建築プロジェクトを、独特なコラージュ作品に仕上げて発表しているアーチストです。
人工着色風のカラー作品は、デザイン集団ヒプノシスのピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンのレコードジャケット・デザインを、モノクロの作品はマックス・エルンストを連想させる奇妙で美しい作風です。
「タンクローリーのアパートメント」
コラージュをDJのリミックスになぞらえ、既存の物の価値の転換を図る「安定した乗り物」シリーズの一つ。





「何もしないための家」
2011年のギリシャ経済危機の困難な状況の中、無人島で「何もしない生活」こそ正しい政治的態度である、というニヒリズムの作品。




「廃棄物のデザイン戦略」
廃棄物による建築で、価値の転換と発見の再解釈をねらったネガティブデザイン。

「バス・ホテル」
7つのベッドがあるダブルデッカーバスの移動式ホテル。普段目にしているありふれた物を変身させることで、価値を再発見する「安定した乗り物」シリーズの作品。




「クレーン・ルーム」
人気のないビーチやビーチサイドの丘に設置される、シンプルなコンクリート基礎の建築物。以前YADOKARIで取り上げていたオランダのクレーン・ホテルは、ここから着想を得たのかも。



「ナイト・シェルター」
2つの対というコンセプトは、Antonasの作品にしばしば登場する。

「ポピュレーション・オブ・フラグメント」
身体性から自由になった未来にも、オフィス労働に縛られている矛盾を表現した作品。

「円形劇場ハウス」
建設現場の空地の可能性を探った、アテネ近郊の島に実際に建築されたプロジェクト。


「フローティング・ルーム」
日光浴のできるルーフトップの下は、空間が繋がったシングルルームになっている船舶の家。


以上の作品から、建築の現実的なインスピレーションが生まれるかどうかはわかりませんが、その発想の自由さと美的センスには驚かされます。
Antonas氏は、既存の常識に縛られた建築への固定観念を打ち破ろうとしているようです。
まずはいろんなアイデアを、たくさんスケッチに起こしていくことが、独創の第一歩かもしれませんね。
Via:
flickr.com
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