ミノムシ型ツリーハウスでモダンな暮らしを「ORIGIN tree house」
ここはフランス。
“château raray”という北フランスの城が位置している森。オークの木々が生い茂る森の中、みのむしのようなツリーハウスが木々の間から顔を出す。このツリーハウスを建築したのは木材建築を得意とする「atelier LAVIT」。鳥の巣にインスパイアを受けてデザインされ、”ORIGIN tree house”と命名されたこのツリーハウスは、ホテルとして利用されている。
「オーダーメイドの木製ドレス」と「atelier LAVIT」のデザイナーチームが名付けているように、外部壁を近くで見ると無数のポプラの木の棒が複雑かつ規則正しく貼られていて、その組み合わせで壁が形成されていることがわかる。それがうまく木に取り付けられていることから、結果の印象として、より「ミノムシ」感が増し、見事に周りの自然に調和している。
さらに、外側から観察してみても、このツリーハウスに入り口らしきものが見当たらない。しかし、よく見てみるとどこからか、空中にこのミノムシ型ツリーハウスの方まで、吊り橋がかかっていることに気づく。この地面から10メートル上空にある歩道を通じて、ツリーハウスの中に入ることができる仕組みだ。吊り橋を通じてたどり着くのは中庭のテラス。
まず、そのまま中に入るというのが一つ驚きがあるといえるだろう。
ゲストは、スペイン建築にインスパイアを受けた「パティオ」、つまり家屋に取り囲まれたテラスに直接入り込むことになる。つまりここがそのままこのツリーハウスの玄関となるのだ。
このようなエントランスから遊び心溢れる演出があると、訪問者も童心に帰ったような気持ちになることができる。その後も、訪問者を感動させるような工夫がなされている。
梯子を下りて後ろを振り返れば、黒ぶちの大きなガラス窓越しに見える綺麗な木製の室内。そしてその先には、美しい森を眺めることができる。
訪問者はこのような森にあるツリーハウスの中が、こんなに快適だとはここに辿り着くまで想像もつかなかっただろう。
しかし、梯子のすぐ横にはオークの木が突き出ているのを見ると、ここが本当にツリーハウスなのだと実感させられる。
ツリーハウスの大きさは23スクエア・メートルと決して広々しているとは言えないが、体感的な広さは明らかにその数字を上回るだろう。「狭さ」が「快適さ」を損なうどころかより強めている印象さえ受ける。インテリア、内装のの美しさがその一つといえる。
そしてもう一つ、このツリーハウスの特徴の一つでもあるが、均等にバランスのとれたツリーハウスのそれぞれの側面に大きなガラス窓が取り付けられている点だ。リビング、寝室、着替え室を含む、狭い廊下とそれぞれの部屋に、大きな窓が取り付けられて、どこからでもこの美しい森の風景をみることができるのだ。このような外に広がる森とのつながりが「精神的な広さ」を生み出す要因の一つとなっているのだろう。
フランスの森の美しい風景を楽しめるだけでなく、日光をツリーハウス内に存分に取り込むことができることもメリットとなるだろう。ここでデザインセンスのいい椅子に腰をかけ、ゆっくりとコーヒーやお茶など飲んだり、読書をしながら日光浴や森林浴を楽しむことができる。
加えて中庭からそのまま梯子を伝って上に上がると、ツリーハウスの屋上テラスにたどり着く。そこではダイレクトに自然の空気と景色に触れることができるため、気分転換にもちょうどいい場所となるだろう。
自然があってこそのツリーハウスであるがゆえ、今までツリーハウスにおいて利便性や、快適さは少々犠牲にされてきた。しかし、この”ORIGIN tree house”はその点をも重視しつつ、かつ冒険心もくすぐってくれるスモールハウスということができるだろう。