ビーチサイドにポップアップ。トレーラー・クリニック登場

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田舎暮らしや島暮らし、海外移住で無視できないのが、地域の医療機関の利便性とクオリティ。自然の豊かさと医療の充実度は、トレードオフの関係にあることが少なくない。長期入院となった際は都会の病院に入ればいいが、長くかかる歯科治療の通院などは頭の痛い問題だ。

離島や僻地に移動式クリニックが巡回してくれたら、まさに夢のような話。うちの最寄りの病院では、病室を犬猫がゆうゆうと巡回しているからね。

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ロサンゼルスのビーチサイドにポップアップしたトレーラー・クリニックの運営元は、GoogleとUberの出身者2人が設立したサンフランシスコのヘルスケア企業「Forward」。シリコンバレーならではの先端テクノロジーを備えた、会員制の予防医療クリニックを展開するスタートアップだ。投資家から1億ドルという巨額の資金調達に成功している。

Forwardは現在、サンフランシスコとロサンゼルスに2つのクリニックを持ち、12分で結果がわかるオンサイトの血液検査、指先を差し入れるだけの光学式ボディスキャナー、遺伝子検査によるガン発病リスク予測など、未来型ヘルスケアを提供している。

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クリニックの壁には巨大なタッチ・ディスプレイが備え付けられ、ドクターはその前で患者にプレゼンするように90分かけてカウンセリングをおこなう。

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ウェアラブル機器を利用して在宅でもモニタリングをおこない、データを一括管理。患者はスマートフォンのアプリを通して日々の健康状態を把握し、ヘルスケア・プランに活かせる。24時間いつでもアプリのチャットでサポートチームに相談も可能。これらのサブスクリプション型ヘルスケア・サービスの費用は、月額149ドルとお高い。

Forwardのトレーラー・クリニックでは、ボディスキャナーによる体温、脈拍、動脈の酸素飽和度の測定とカウンセリングのみを提供。血液検査と遺伝子検査は受けられない。ただしトレーラー経由で新規会員に申し込むと、メンバーシップが月額99ドルにディスカウントされる。はやい話、メインはプロモーション用途というわけ。

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ただし、Forwardの予防医療と総合診療的なアプローチ自体は評価できる。日本の大学病院や総合病院での問診やカウンセリングの時間は非常に短いからだ。NHKの番組『総合診療医ドクターG』のように、患者の生活習慣を含めてじっくりと話を聞くことで、正確な病気の特定や要因の究明が可能なはずなのに。

『総合診療医ドクターG』に登場するスーパー総合診療医は、患者の症状や状態、生活習慣や癖などを診断して、豊富な経験と医学知識のデータベースから、フローチャート的に病名を特定していく。この問診という部分に限れば、医師がおこなう観察・目視・触診を除いて、過去の膨大な症例を機械学習を使って分析すればプログラミングできるはずだ。
タブレットのアプリ上で、AIが用意する50の質問に答えていけば、可能性のある病気をピックアップして、訪れるべき診療科と必要な検査を絞り込むことが可能、という具合に。総合病院の待合室で、やることもなく待たされている間に充実した問診ができる。研修医でもスーパー総合診療医なみの診断が可能になるだろう。

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遠隔医療の分野では、医師が直接観察する代わりに、患者がハンディな画像スキャナを使い、口腔内や眼球をスキャンしてデータを送信、AIによる画像診断を行うといったことも可能となるだろう。血液検査のスタートアップ、セラノス(Theranos)の技術はシリコンバレーを揺るがす一大詐欺だったが、無痛のカートリッジ式・血液採取デバイスは、近く登場してくる見込みだ。オンサイトの血液分析が自動無人化されれば、医療機関のない地域でもその場で血液検査が可能になる。

個人的に、AIや新しいプログラムとデバイスによる遠隔医療の明るい未来を期待しているけど、歯医者さんの通院に関しては悲しいかなお手上げだ。コンビニより多い日本の歯科医院のなかから、トレーラー・クリニックで僻地を巡回する有志ドクターが現れる日が来ないだろうか。旅する歯医者さんって素敵だとおもうのですが。

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