どこにでもおけるのがいい。低予算スモールハウス「Trailer」
ここはイギリス、お風呂の「バス」の由来となったイングランド南西部のBath(バス)という街の外れにある森の中。Invisible studio(インビジブル・スタジオ)が建築。現地で育った木材の廃材を集めて再配置可能なスモールハウス、「Trailer」(トレイラー)とのプロトタイプを作成した。
五角形型のこのスモールハウスがなぜ「Trailer」というのかというと、トレイラーで引っ張っていけるだけでなく、もともとこのようにトレイラーの上で組み立てられたからだ。
タイヤのついた鉄フレームの土台の上に直接五角形のフレームを立てていく。
そのためこのスモールハウスに柱などはなく、見た目の五角形をそのまま奥に並べるようにして、そのフレームをそのまま骨格とする構造になっている。
トレイラーで運搬した後は、タイヤを取り外し、ベースの鉄フレームの部分をスライドさせれば、このスモールハウスを地面に固定ができる。このスモールハウスは合法で、イギリスの高速道路でも引っ張っていくこともできる。
断熱材、ドア、ライトに至るまで、ほぼすべての素材に関して、Invisible studioはこのスモールハウスを建築するために近所の家などから使える素材をたくさん集めてきた。
壁の素材は、波状のファイバーグラスと鉄を組み合わせて貼られている。
このような素材を使い、家の総重量を減らすことによって、スモールハウスのトレイラー運搬が可能になるのだ。
もちろん決して高級な素材などではないのだが、周りの森の緑に映えるシックなブラックのデザインがどこかイギリスらしさを感じさせる。
雪が降ることのあるイギリスで、軽い屋根を使うというのは、屋根が押しつぶされる危険性があるため通常タブーなのだが、この五角形のフレームデザインによりそのような問題をクリアしている。
この単純な幾何学的デザインは機能性を追求した結果でもあるのだ。
フレームから少し飛び出た部分が屋根付きの玄関となっている。
このようにちょっと椅子を置くと、テラスとしても使用でき、自然とダイレクトにコミュニケーションのとれるオープンスペースとなる。
中を覗いてみよう。
内装も二次使用の素材で、木の薄い層でできたラミネート、この家のすべての組み立て素材は木材の切れ端になる。
二回へと通じるはしごを登っていけば、小さなロフトにたどり着く。
このロフトは複数の青いロープによって吊られるように支えられている。もちろんこの青のロープも二次使用だ。遊び心に溢れたこの場所は、子供たちが秘密基地変わりに使うこともできる。
また、このように布団を敷いて、寝室代わりにすることも可能だ。
窓の切妻は連結させたポリカーボネイトを使用している。
ここから自然光が十分に入ってくるため、部屋の中が明るくなるだけでなく、曇りが多く、部屋が寒くなりがちなイギリスの気候でも部屋をしっかりと温めてくれる。
もちろん薪暖炉も備え付けてあるため、冬の時期で雪が降るほど寒くなったとしても寒さに凍えず快適に過ごすことができる。
コンパクトなキッチンもあるので、ちょっと簡単な食事をつくることもできる。
外が暗くなってきた時に、このように光を灯すことで、玄関側がぼんやりと光り、廃材とは思えない洗練された印象を受ける。
トレーラーで運んでどこにでもおけるので、出張でのワークショップなどにも最適だ。それだけなく、木のフレームで作られているという単純さから、さらにセルフビルドなどでいくらでも拡張していくことができる。
「キャンピングカー」ではなく「引っ張っていける家」というのも今後どんどん増えていくのではないだろうか。
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