ARアプリで自動運転の未来を探索。IKEAが描く7つの「車上のスペース」

via: foam.studio

IKEAの未来生活研究所「SPACE10」が、自動運転車がもたらす未来の「車上のスペース」がどのような姿になるのかを、7つのコンセプトモデルにまとめて発表しました。iOS対応アプリをダウンロードすれば、AR (拡張現実)を使った車内探索も可能です。来るべき自動運転が可能にする未来社会を一緒に見ていきましょう。

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Spaces on Wheels(車上のスペース)」と名付けられたこのプロジェクトは、SPACE10がビジュアルトレンドラボの「f°am Studio」とコラボレーションして開発したもの。運転席のない自動運転車のインテリアは、もはや自動車の空間ではなく、リビングスペースへと進化するという考えが前提にあります。

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「将来のモビリティは、人や物資をAからB地点へ運ぶだけの手段ではなくなります。プロジェクトの狙いは、多くの人々が、自動運転の発展が日常生活にもたらすパラダイムシフトを思い描けるようにすることです」とのこと。「未来に想いをはせる人こそが、未来に形を与えるはずだと信じています。自動運転車が人々の生活をより豊かにする方法を視覚的に探究することで、将来の都市のモビリティについて対話を促したいのです」とSPACE10。

車上のスペースの7つの形態として、オフィス、カフェ、ヘルスケア、生鮮品ストア、遊び、ホテル、ポップアップストアが提案されています。自動運転のコンセプトカーにありがちな、無菌的でつややかなクロム光沢の筐体の代わりに、親しみの持てるIKEAらしい人間中心のデザインが特徴となっています。

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渋滞の多い都市では、運転をして通勤するのに平均75分がかかります。これらのうち約30分が渋滞に失われています。これはドライバーが32年間で、2年分の時間を渋滞の中で過ごしている計算です。

Office on Wheels (車上のオフィス)」では、時間を有効活用して仕事をスタートダッシュで始めたり、同僚と早朝ミーティングを開いたりすることで、失われた時間を取り戻すのに役立ちます。

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ゲーム業界に革命をもたらすAR (拡張現実)は、次世代の教育プラットフォームになることが予測されています。技術が進歩するにつれて、車の周辺環境に密接に結びついたリアルタイムのコンテンツを提供することによって、自動運転車でますます重要な役割を果たしています。

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Play on Wheels (車上の遊び)」ではARウィンドウを使用して、移動中に新しいゲームを試したり、周囲を反映した教育コンテンツを体験できます。

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研究によると、人々の交流の質は、どれほど幸福を感じるかという感情に直接的に影響しています。忙しい都市生活では社交の時間が限られ、高齢になるにしたがい友人たちと過ごす時間も少なくなりがちです。

Cafe on Wheels (車上のカフェ)」に乗車すると、忙しい一日に移動し続けながら、コーヒーを飲んで友達と団らんできるようになるはずです。

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低所得層の人々にとっては、新鮮で健康的な食品を販売する店舗や市場に行くことは困難な状況で、ローカルの食料アクセスにとって大きな障壁となっています。

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Farm on Wheels (車上のファーム)」は、人々がどこにいても地元の農産物を提供することで、農家がビジネスを拡大できるようにします。

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交通の不便は、低所得者のコミュニティにおいて、ヘルスケアへのアクセスを制限する大きな障害の1つとなっています。医療機関が出先施設を展開していても、「ラストマイル」の問題が残り、エンドユーザーには十分リーチできていません。

Healthcare on Wheels (車上のヘルスケア)」は、必要としている人々を医療の専門家が訪問することで、「ラストマイル」問題を解決できます。

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航空機による旅行は、ほかのどのアクティビティよりも二酸化炭素排出量を高めています。実際に航空業界は、人間による地球温暖化の推定4.9%を担っていると言われています。

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Hotel on Wheels (車上のホテル)」は、伝統的なホテルルームの特典をすべて含んだクリーンエネルギーで動くモバイルホテルです。人々を眠っている間に目的地に連れて行ってくれ、二酸化炭素排出量を減らすことに貢献できます。

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実店舗は、小売業者が多くの人々とつながることを可能にしますが、頻繁に通うことができない場所に住んでいる人も少なくありません。オンラインショッピングを通して人々は物品を購買できますが、現実の店舗体験ではありません。「Shop on Wheels (車上のショップ)」では、どこにいても自分の条件に合わせて商品を試したり、購入できるようになります。

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SPACE10のアプリ(iOSのみ対応)をダウンロードして使用すると、お好みの「Space on Wheels」を予約してAR上であらゆる角度から探索することができます。

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f°am Studioでは、3Dプリンターを多用して、モジュール構造によるSpace on Wheelsのモックアップを試行錯誤しています。自由なクリエイティブによるイマジネーションが、「車上のスペース」のプロジェクトに楽しさを付加しているようです。

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「IKEAは好奇心の強い会社であり、絶えず新しい機会を模索しています」とインター IKEAシステムズのマネージャー。「我々は自動運転車を製造する野望は持っていませんが、そのインテリアは小さなリビングスペースへと変化することが予想されます。これはIKEAが多くの経験を持っている分野ですが、新しい洞察のために積極的に関与したいと考えています」。

「Space on Wheels」のような自動運転の未来社会を想像する試みは、日本でももっと挑戦してほしいと感じます。超高齢化社会に対して、自動運転車の有効活用は大きな解決策になる可能性があると思うのです。

Via:
space10.io
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