愛犬の側で仕事したい。コンテナを改造したカナダのホームオフィス
アメリカのAmazonやGoogle以外にも、ペットの同伴出勤に寛容な企業が世界中で増えているようです。それでも自宅で愛犬・愛猫の側で仕事できるのがやっぱり一番。カナダの建築家は、業務拡大による新しいオフィススペースの確保のために、自宅の裏庭にワークスタジオを設置しました。コンテナを改造したオフィスのモダンで美しい出来栄えをご覧ください。
ランディ・ベンズは、カナダの建築事務所・RBアーキテクトを、ニューウェストミンスターの自宅で10年以上運営していました。やがて仕事が拡大してスタッフが増え、より多くのワーキングスペースが必要となりました。愛犬を含めた家族とのライフスタイルを失いたくなかったベンズは、賃貸で借りるのではなく、オフィスを自宅の裏庭の空きスペースに新しく建築することを決めました。
ホームオフィスのゴールは、自宅で働くことのメリットを得ながら、スタッフが独立したスペースを持ち、クライアントや建設業者とのミーティングも行える、仕事のためのもっと余裕のあるスペースを確保すること。
いくつかの建設のオプションを見て検討した結果、コールテン鋼製の大きな輸送コンテナを使用することにしました。採掘作業用に設計されたこのコンテナは、全長12メートル、幅3.5メートル、高さ2.9メートルの大きさ。頑丈なスチールの耐久性と、オフィスを移転したい際に運搬可能なことが、採用に至った2つの大きなメリットでした。
最初のステップは、コンテナが裏庭のスペースにフィットするよう、長さを12メートルから8.5メートルまで短くすることでした。サプライヤーの工場で改造作業が行われ、95%ほど完成した段階で敷地に運ばれクレーンで下ろされて設置。ファサード部分は、コンクリート基礎から2メートル余りせり出して宙に浮いています。
33平方メートル(約10坪)のコンテナは、中央のエントランス部分が大きく切り取られ、エクステリアを覆うベイヒバを使った窓と扉が設置されています。このベイヒバの淡い黄色は、時間の経過とともに風化して灰色のツヤを醸していき、森の中のキャビンのような鄙びた美しさをスチール製のコンテナに与えます。
建物のインテリアは、スペース効率の高いオフィスを実現するために、慎重にレイアウトされました。
コンテナ内部は、温かみのあるバーチ材の合板で覆われ、壁のほぼ全長に渡って奥行き48センチのベイマツのデスクが一直線に走ります。フロントエンドの大きなガラス張りのファサードが、室内を自然光で溢れさせます。
フローティング・デスクの上には、収納棚が並行して伸びています。
奥には簡易キッチンがあり、背後にあるトイレと洗面所スペースのパーテーションとなっています。
オープンスタジオスペースには、プリンターとネットワークのキャビネットが設けられ、小さなミーティングスペースのテーブルは、建築モデル製作時にはデスクとジョイントすることで作業スペースを拡張できます。
緩やかに傾斜した歩道の先のステップを登って、エントランスにアクセス。一冬を経過したスチール製の階段は、赤い錆の層で覆われています。
オフィスには、1930年代に建てられた古い隣の自宅から必要なものをすべて移動させました。水、衛生設備、電力、ネットワークは、自宅からコンテナの基礎まで地下を通って引き入れられました。
コンテナのホームオフィスは、2016年の冬に完成。
「近所からも訪問者からも愛されるオフィスになりました。小さな建物には多くの人を惹きつける何かがあります。もちろんそれは働くのに楽しい場所です」とベンズは感想を述べています。
裏庭にオフィスがあれば、ペットも伸び伸びと遊ぶことができて嬉しいでしょうね。ベンズの愛犬は、仕事の邪魔をしないようでお行儀が良さそう。作業中に時々PCのキーボードの上を歩くうちの猫とは大違いです。