ワークショップで小屋を建てる。コロラドの標高3千メートルのキャビン群

via: coloradobuildingworkshop.cudenvercap.org

タイニーハウスの実際の建築は、建築を学ぶ学生にとって非常に有益な体験です。コロラド州リードヴィルの標高3,000メートルの深い森で、学生たちは2年に渡って21棟のキャビンを設計して、自分たちの手で建設しました。自然のランドスケープを壊すことなく、プレファブ建築、マイクロハウジング、耐寒・耐雪設計を学び実現したワークショップ・プロジェクトを見ていくことにしましょう。

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「コロラド・ビルディング・ワークショップ」は、コロラド大学デンバー校の建築デザインプログラム。NPOと提携して学生のワークショップによる建築デザインを、様々なコミュニティに提供しています。学生の実体験による建築教育を通して地域コミュニティに貢献するという、合理的でウィンウィンな取り組みです。 2015〜2016年のプロジェクトでは、地元のアウトドア体験学校「コロラド・アウトワード・バウンド・スクール」の職員のための宿泊キャビンを建築しました。

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標高3,000メートル、ロッジポールパインの森の険しい山腹に位置する21棟のキャビン群。最初の14棟は、スクールのジュニアスタッフのための夏季の宿泊施設として2015年に造られ、残りの7棟は上級スタッフ用の通年キャビンとして翌年に建設されました。それぞれの29日間の建築ワークショップには、コロラド大学デンバー校の大学院生28人が参加。学際的な教授陣と専門家チームがプロジェクトの指導を助けました。

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建築デザインは、アウトドアスクールの歴史と社会的ポリシーを学習することからスタート。宿泊と収納の要件を満たし、1カ月未満の短期間で現場で組み立てられる条件から、「フレーム」の中に「ボックス」を入れる構造を採用。大学内に実物大のモックアップを製作し、プレファブ建築の設計と組み立てのシミュレーションが行われました。

スチール製のフレームは、教員の自転車・スキー・カヤックなどの大型ギアの収納スペースとして機能し、冬の積雪荷重を低減するために設計された「スノールーフ」で、キャビンの居住ボックスとポーチを格納して保護します。このシンプルなフレーム・ボックス構造により、各キャビンには異なる建築デザインと間取りをフレキシブルに展開することができました。

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フレームの低メンテナンスな圧延鋼板の縦に並ぶ柱は、周りのロッジポールの森の樹木と調和して、キャビンのランドスケープに与える視覚的影響を最小限に抑えています。

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キャビンのインテリアは、CNCでカットされたバーチ合板で覆われ、室内にナチュラルな温かみをもたらしています。それぞれのキャビンのデザインに合わせて、デスクやベッド、収納コンパートメントを製作するために、カスタムデザインによって合板をカット。壁とCNC合板は、デンバーで事前にプレファブ製作され、トラックによりフラットパックでリードヴィルの現場に運ばれました。

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ガラスを壁に構造的に挟み込むことで窓枠をなくし、ミニマリズムの中で住人を自然の景色に融合させます。

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木塊から切り出されたシダー材による外装は、アウトドアテイストの落ち着きのある趣となっています。

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室内のスモールスペースを有効活用するために、可変式のベッドや収納家具の多機能化など、よく考えられたアイデアが随所に見受けられます。

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2016年に建築された上級スタッフのための7棟のキャビンは、通年使用に耐えるための断熱が大きなテーマになりました。年間平均気温1度という、アメリカで最も寒い地域の基準を満たす必要から、学生たちは雪の空洞から作られたスノーシェルターQuinzhee(かまくら)からヒントを得て、キャビンの構造に「雪断熱」のロジックを適用しました。

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19平方メートルの各キャビンの壁と屋根には、構造用断熱材パネル(SIP)を採用。フラットな屋根に積もった冬の雪による自然な断熱と併せて、高い断熱効果を実現しています。

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それぞれのキャビンは、単一の電気回路によって結ばれ、照明と暖房、ミニ冷蔵庫・ティーケトル・コーヒーポットなどの小型家電のためのコンセントへ給電されます。別棟のセントラルスタッフロッジでは、入浴、調理、洗濯のための設備が利用できます。7つのキャビンは、ランドスケープによって向きとデザインが異なり、スクールの環境ポリシーを反映させた最小限の環境負荷が考慮されています。

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インテリアも前年度のものから、ラグジュアリーにグレードアップ。木の表情を生かしながらモダンなデザインに仕上げられています。

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ワークショップで小屋を建てるというアイデアは、日本の地方の移住促進のアプローチに活用できそうです。建築を学ぶ学生だけじゃなく、DIYや田舎暮らしを体験したい人たちを招いて、タイニーキャビンの建築や民家のリノベーションを地域住民と協働で行う。日本でも体験を共有しながら、コミュニティに貢献できる取り組みが広がっていけば、地方がもっと楽しくなるんじゃないでしょうか。

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