ノープランの気ままな旅。スペイン人カップルの自由を求めるバンライフ
旅もDIYもノープラン。70万円の中古バンを経験なしでコンバージョン、車上暮らしをエイッとはじめたスペイン人カップルがいます。“なんとかなるさ!”のラテンスピリットで、旅を続けながら、オンラインショップやバンの改造で生活費を稼ぐたくましさ。自由を愛する2人のライフスタイルは、ちょっとまぶしい。
休暇旅行のための足として、2015年に中古のプジョー・ボクサーを購入したライアとアイトール。2016年の夏には、古いマットレスとキャンプ用ガス以外に何も用意せずに、南スペインとポルトガルへロードトリップに出かけます。
自由と自分で人生をコントロールすること、心の平和と自分自身・他人・周りの環境へつながる大切さ、その日を目いっぱい生きる喜び。この旅で得た価値観が2人の人生を大きく変え、フルタイムでバンで暮らすことを決心したのです。
旅から戻ると、2人はさっそくバンの本格的なコンバージョンをスタートさせます。経験も知識もなかった彼らは、YouTube、Instagram、バンライフの先達のWebサイト、Facebook上のグループなど、様々なところから情報とインスピレーションを得るために多くの時間を費やしました。
5,500ユーロ(約69万円, 1ユーロ=125円)で購入した中古のバンは、以前は建築会社によって使用されていたので、内部は汚れとグリースでいっぱいでした。まずは内部を徹底的にクリーンにする作業が始まりました。
2人は、自分たちのニーズと必要条件について考えを持っていましたが、実際にはフロアプランの設計を行いませんでした。とりあえずベッドを作り、そこから「テトリス」のようなDIY作業を始めていったのです。カップルは両方ともパートタイムで働きながら、自由時間を見つけてはバンの改造に取り組みました。
カップルのDIYコンバージョンの記録と失敗やTipsは、彼らのサイト「バンエフェクト (The Vaneffect)」で詳しく公開されています。「幸せは、共有してはじめて実現する」というモットーから、エコロジカルな装備、断熱材や暖房設備の比較など、実践的なバンライフの情報が満載。ほかのバンライフの実践者のインタビューも掲載されていて、バンライフのプラットフォームのようになっています。
デザイナーのライアは語ります。
「木工の経験がなかったので、たくさんの木材を無駄にして暖炉の薪になってしまいました。最初の頃はヘマの連続。最終的におよそ2年をかけて完成し、やっと自分たちがやっていることがわかったという感じ。
チュートリアルで何時間もトレーニングを繰り返し、フォーラムで意見をチェックしたり、他の人がした間違いを参照しました。それでも、自分たちの失敗から、一番多くのものを学んだというのが実際のところです」。
「DIYについて、アイトールのお父さんの助けを得られたことは非常にラッキーでした。自分たちだけの考えで作業していたら、さらに長く時間がかかっていたでしょう。彼の指導のおかげで、ずっと早く正しい方法でDIYを学ぶことができました」。
コンバージョンのプロセスでもっとも難しかった部分は、水回りと電気系統だったといいます。
「完全に自給自足で旅行したいと思っていたので、両方ともとても強力なシステムになっています。最初はシンプルな給水システムから始めましたが、しばらくそれを使った後で気づいたのは、休暇中だけ使うようなものでは不十分だということ。そこでコンバージョンの途中で、完全に入れ替えてアップグレードしました」。
ライアが一番好きなバンのキャラクターは、機能的でユニークなキッチンのセットアップとのこと。確かに造作に細かい寸法の工夫が見られ、使い勝手が良さげです。
後で追加された、カーテンやライトと組み合わされたバックドアの丸窓も彼女のお気に入り。壁の間に挟み込まれた黒いKaimann社のラバー断熱材・Kaiflexは、加工のしやすさと断熱性能の高さでバンエフェクトで推奨されています。
「映画を鑑賞するためのディスプレイも、可愛いシャワーもそれを使うのが大好きです。どれも2人の個性を反映してつくったもので、実は全部がお気に入りなの(笑)」。
バンのコンバージョンの正確な費用はわからないとのことですが、概算で1万ユーロ(約125万円)くらいかな?とのこと。購入費用と合わせても、200万円以下で収まっているわけです。
ライアは、Ecovanというサステナブルなラインナップが特徴のオンラインストアも運営しています。廃棄物ゼロの哲学を実践する、プラスチックなしの100%リサイクル可能な材料から作られた商品のみを扱っています。
ライアの、手作り歯みがきペーストとマウスウォッシュのレシピに興味のある方は、コチラのページをお読みください。
2人が買ったプジョー・ボクサーのミディアムルーフ・バンでは、 ノマドワークに必要なものすべてを収納することができました。長時間作業する必要がある場合は、まっすぐに立って少し動き回るためのスペースもあります。立ってキスしても頭をぶつける心配なし。
「私たちはノープランでこの車上生活を始めています。それが正しいと感じている限り続けたいし、いつまで続いていくのかはわかりません。いろいろな場所で、ゆっくりと旅行と体験をしたいんです。どこかの場所に立ち寄って1カ月や2カ月、快適に感じることができれば、もしかすると1年以上そこにとどまるかもしれません」。
「私たち2人は特別ではありません。変化すること、マジョリティを外れて人と違った道に飛び込むことは怖いと感じています。ただ、このもう一つのライフスタイルが、素晴らしい冒険になることだけは確信しています」。
ノープラン、モア・フリーダム。若いっていいですね〜!
Via:
thevaneffect.com
instagram.com/thevaneffect
ecovanstore.com
parkedinparadise.com